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『シング・フォー・ミー、ライル』音楽演出:市之瀬洋一 オリジナルに負けない吹き替えを【Director’s Interview Vol.296】

『シング・フォー・ミー、ライル』音楽演出:市之瀬洋一 オリジナルに負けない吹き替えを【Director’s Interview Vol.296】

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上手く歌ってはダメ



Q:今回の歌声は普段の大泉さんの声とは印象が違い、すごく伸びやかな感じがしました。具体的にどう演出されたのでしょうか。


市之瀬:そこに関して僕は特別なことはやっていません。ボイトレをお願いした岡崎昌幸君(STARDUST REVUEサポートメンバー)の功績が大きいと思います。ショーン・メンデス演じるライルというキャラクターありきなので、同じような感じになるよう二人で調整したんだと思います。ライルは幼少期の場面もありますが、そこらへんも画に合わせて対応してくれていました。


Q:「上手く歌ってはダメ」と大泉さんに演出されたそうですが、それはどのような意図だったのでしょうか。


市之瀬:多分「歌手が歌うようなテクニカルな歌は要らないよ」という意味で言ったのだと思います。大泉さんは大泉さんなりに身につけたテクニックを駆使して上手に歌おうとしていましたが、今回はそんな歌は必要ありません。オリジナルよりももっと素朴に歌って欲しかったんです。役者の大泉さんにはもっと歌の中で演技して欲しかった。その方が聞いている人の心に響く。「歌い過ぎるな」と言う意味で「そんなに上手く歌うな」と言ったのではないかと思います。



『シング・フォー・ミー、ライル』© 2022 CTMG. All Rights Reserved.


Q:石丸さんと水樹さんは、大泉さんとは経験が違います。演出方法も変わるのでしょうか。


市之瀬:基本的には一緒です。石丸さんは大学の後輩でもあり、割と近い道を歩いているので何かと意思疎通は楽です。例えば「ここはもっとソットボーチェね」と言うと「わかりました」とすぐ反応してくれます。ソットボーチェとはイタリア語で柔らかい声という意味です。


Q:大泉さん、石丸さん、水樹さんと、それぞれ持ち味が違いますが、共演に全く違和感がなくむしろ共鳴し合っていました。


市之瀬:すごかったですよね。水樹さんは声もオリジナルにそっくりで嬉しくなっちゃいました。赤ちゃんの頃のジョシュに歌いかけるシーンなどは、テストの後「赤ちゃんに話しかけるように歌ってみようか」と指示すると一発で決めてくれました。すごく気に入ってます。実は意外と石丸さんが心配でした。石丸さんのキャラは二の線ですが、演じるヘクターは何となく胡散臭いキャラ。そのギャップを演出でどう埋めようかと心配していましたが、取り越し苦労でした。いやぁ見事でしたね(笑)。順番としては大泉さん、石丸さん、水樹さんの順で収録していきました。ですから石丸さんも水樹さんも大泉さんの歌を聴きながら収録したわけです。日本を代表する実力派の石丸さんや水樹さんに負けないような歌を歌った大泉さんはすごいですよね。大泉さんの努力に乾杯です!





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