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『シング・フォー・ミー、ライル』音楽演出:市之瀬洋一 オリジナルに負けない吹き替えを【Director’s Interview Vol.296】

『シング・フォー・ミー、ライル』音楽演出:市之瀬洋一 オリジナルに負けない吹き替えを【Director’s Interview Vol.296】

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今なら『ラ・ラ・ランド』に挑戦したい



Q:市之瀬さんがミュージカル映画の吹替演出をやるようになったきっかけを教えてください。

 

市之瀬:本当は歌手として身を立てたかったのですが、喉を壊してしまったんです。それでも音楽から離れられなくて40歳で音楽制作会社を作り裏方に回りました。最初はDTM(Desk Top Music)で音源制作をやりながら、採譜やディレクションの仕方など様々なことを学びました。その後45歳くらいでディズニーさんに営業をし、ようやく音楽演出をやらせて頂けるようになった次第です。実は会社を作る前までは、ディズニー作品でコーラスなどを歌ったりしていて、そのころから収録現場をある程度仕切っていたんです。そんなこともあり、いずれはそっちに行くぞと心密かに思っていたような気がします。



『シング・フォー・ミー、ライル』© 2022 CTMG. All Rights Reserved.


Q:影響を受けたミュージカル映画を教えてください。


市之瀬:今になって思えば『ラ・ラ・ランド』はやってみたかったですね。僕の記憶ではオファーがある前に映画館で観たんですが、職業病とでも言いますか、観ながらこれを吹き替えるとしたら自分だったらどうしようと考えたんですね。映画の初っ端から長いメドレーがあって、それを聴いた瞬間「これ無理!」って思っちゃったんです。(笑)。でも今回の『シング・フォー・ミー、ライル』を経験して、今だったら出来るかもしれない、やってみたいという気持ちが湧いてきました。


Q:本作は市之瀬さんにとって大きな経験になったのですね。


市之瀬:確実になりましたね。僕の背中を配給会社のソニーさんが押して、ではなく、蹴ってくれましたから(笑)。スケジュール的に忙しかったこともありますが、相当難しいと思ったので、すぐに「Yes」という気にはなりませんでした。一旦お断りしたはずだったんですが、「とにかく話だけでも聞いてくれ」と再度オファーがあり会社に赴きました。そこからのソニーさんの迫力がすごかったです。部屋に通されて「Yesというまでは出さないぞ!」というような気迫すら感じました(笑)。それも今となってはいい思い出ですね。ハードルが高い作品だっただけにいい経験にもなりましたし、大泉さんをはじめとする素敵なキャストや制作スタッフの方々にお会いできました。



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音楽 演出:市之瀬洋一(いちのせよういち)

1953 年、鹿児島県出身。大学卒業後ソロヴォーカル及びコーラスとして活動するかたわら、アーティストのツアーにも多数参加。1993年、会社設立以降はカラオケの音源制作やディズニーをはじめとする日本語吹替版の音楽演出に携わる。 『ミラベルと魔法だらけの家』(21) 『アラジン』(19)『リメンバー・ミー』(17) など他多数 。現在はキングストーンズのリードヴォーカルとしてコンサートやライブを企画、演出。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『シング・フォー・ミー、ライル』

3月24日(金)全国の映画館で公開 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

© 2022 CTMG. All Rights Reserved.

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