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『リメンバー・ミー』溢れんばかりのメキシカンカルチャーへのリスペクト!
※2018年3月記事掲載時の情報です。
『リメンバー・ミー』あらすじ
主人公は、ミュージシャンを夢見る、ギターの天才少年ミゲル。しかし、厳格な《家族の掟》によって、ギターを弾くどころか音楽を聴くことすら禁じられていた…。ある日、ミゲルは古い家族写真をきっかけに、自分のひいひいおじいちゃんが伝説のミュージシャン、デラクルスではないかと推測。彼のお墓に忍び込み美しいギターを手にした、その瞬間──先祖たちが暮らす“死者の国”に迷い込んでしまった!
そこは、夢のように美しく、ガイコツたちが楽しく暮らすテーマパークのような世界。しかし、日の出までに元の世界に帰らないと、ミゲルの体は消え、永遠に家族と会えなくなってしまう…。唯一の頼りは、家族に会いたいと願う、陽気だけど孤独なガイコツのヘクター。だが、彼にも「生きている家族に忘れられると、死者の国からも存在が消える」という運命が待ち受けていた…。絶体絶命のふたりと家族をつなぐ唯一の鍵は、ミゲルが大好きな曲、“リメンバー・ミー”。不思議な力を秘めたこの曲が、時を超えていま奇跡を巻き起こす!
Index
映画を彩るメキシカンミュージック
ディズニー/ピクサーのアニメーション『リメンバー・ミー』。ひいひいおじいさん(高祖父)が音楽の成功を夢見て、家を出て戻ってこなかったという哀しい過去を受け、音楽を禁じられた家で育ったミゲル少年。ミュージシャンを夢見る彼が、メキシコの死者の日に、高祖父との出会いを求めて死者の国を彷徨う冒険劇である。そこで、ミゲル少年のピンチを救うのが、彼が奏でる美しいギターの音色とボーイソプラノの歌声。
この声を担当しているのが、4歳の時からメキシコのマリアッチ(ビウエラ、ギター、ギタロン、バイオリン、トランペット、フルート、アルパからなるメキシコ音楽を奏でる楽団)で歌ってきたというアンソニー・ゴンザレス君、当時12歳。その伸びやかで喜怒哀楽に富んだ声で、ジェットコースターのような展開を生き生きと飛び跳ねていく。ま、はっきりいってゴンザレス君、天才です。
『リメンバー・ミー』(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.(C)2018 Disney. All Rights Reserved.
2018年3月5日に行われたアカデミー賞では、主題歌「リメンバー・ミー」が主題歌賞を受賞した。作曲者はクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペス。夫妻が手掛けた主題歌といえば、2013年のメガヒット作『 アナと雪の女王』の主題歌「 Let It Go」もあり、あちらは「レリゴー」と高らかに女の子の自立を謳いあげたけれど、こちらは子孫から忘れ去られそうになっている死者の哀しみをしっとりとうたった曲だ。
映画の中では、ミゲルが憧れる昔の映画スター、エルネスト・デラクルス役のベンジャミン・ブラッドが渋く歌うマリアッチ風、ミゲル本人が死者の国に迷い込んでしまって寂しい気持ちになって歌う時のギターソロによるもの、そして、ひょんなことから、ミゲルの道中を助けることになるヘクターの包容力あふれるもの(こちらの声は、メキシコのスター、ガエル・ガルシア・ベルナルが担当している)。ちなみに日本語吹き替え版ではミゲル役は石橋陽彩、デラクルスは橋本さとし、ヘクターは藤木直人、そしてエンドソングではシシド・カフカfeat.東京スカパラダイスオーケストラによるノリノリの「リメンバー・ミー」が流れている。
リー・アンクリッチ監督は、当初はメキシコのミュージシャンに映画音楽を依頼するつもりだったというが、最終的には『Mr.インクレディブル』、『レミーのおいしいレストラン』、『カールじいさんの空飛ぶ家』などの音楽を手掛けた、ピクサー御用達作曲家ともいえるマイケル・ジアッキーノに依頼。
ジアッキーノはジュリアード学院卒業の多才な人なので、先ほどのマリアッチのサウンドのほかにも、メキシコ中東部のヴェラクルース地方の伝統的なダンス音楽サン・ハロチョや、金管楽器のバンドサウンドが特徴的なバンダなど、多彩なメキシコサウンドを盛り込んでおり、50名に及ぶ各分野のトップミュージシャンを招聘し、83人編成のオーケストラと合わせて、この映画のメリハリの利いたサウンドを作り上げたという。
ちなみにミゲルの憧れの映画スター、エルネスト・デラクルスのモデルとなったのは、メキシコ人なら知らぬ人がいないというほど国民的スター、ペドロ・インファンテ(1917-1957)である。