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『ドライブアウェイ・ドールズ』 イーサン・コーエン監督&トリシア・クック 型破りな夫婦関係ですべてを一緒に決断 【Director’s Interview Vol.408】

©2023 Focus Features. LLC.

『ドライブアウェイ・ドールズ』 イーサン・コーエン監督&トリシア・クック 型破りな夫婦関係ですべてを一緒に決断 【Director’s Interview Vol.408】

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親密なシーンでは演出で対立も?



Q:いま話を聞いていても2人の仲の良さが伝わってきますが、人としてどこに惹かれているのでしょう。


トリシア:私たちの30年以上の関係は、人から見たら型破りかもしれません。でもこの関係性を心から楽しんでいます。イーサンはいつも私を笑わせてくれるし、ちょっとバカなところが大好き(笑)。まったく年を取らないのは、ちょっと不思議です。


イーサン:僕は自分が好きなことについて語るのは得意ではありません。ひとつ言えるのは、ジョエルとの仕事が、すばらしい人生の“前触れ”だったことでしょうか。


Q:ではアーティストとして、お互いをどう感じていますか?


イーサン:アーティストという言葉は、ちょっと僕らに似合わない気がするけど……。


トリシア:映画製作者としておたがいを尊重していると思います。私はイーサンの仕事を長い間、見守ってきた経験から、彼のアイデアや意見が賢明であると信じています。私たちの意見がぶつかるのも稀なことで、毎日コラボレーションを楽しんでいる感じですね。


イーサン:今回の『ドライブアウェイ・ドールズ』でトリシアを信頼したのは、クィアのキャラクター、クィアにまつわる事象への知識です。僕が知らないことに、彼女は詳しい。そうやって補い合っているんです。



『ドライブアウェイ・ドールズ』©2023 Focus Features. LLC.


Q:『ドライブアウェイ・ドールズ』の製作過程で、おたがいの存在に感謝したことについて、もう少し詳しく聞かせてください。


イーサン:現場では毎日、彼女に感謝していました。撮影監督や俳優など携わるすべての人々に対し、トリシアはうまく関係性を築き、コミュニケーションをとっていましたから。


トリシア:(主人公の2人である)ジェイミーとマリアンの親密なシーンで、「もっと派手に濃厚に」という私の意見に対し、イーサンは「いや、控えめな方がいい」と主張しました。まわりの反応を聞くと、イーサン側に賛成する人が多く、結果的に彼の演出に従ったところ、映画の中でうまく機能したと思っています。私が頭で思い描いたイメージとは違っていても、彼の方が正しかったのです。


イーサン:彼女がそれを話すのは、ちょうど僕らが次の映画を撮ったばかりで、そこにははるかに濃厚なシーンがあるからさ(笑)。


トリシア:新作は私の流儀でやらせてもらったから(笑)。


イーサン:『ドライブアウェイ・ドールズ』と次回作のテイストは、そんな風に違うんですよ。


Q:あなたたちには『ドライブアウェイ・ドールズ』から3部作の構想もあり、次の作品は主演俳優も同じで、やはりレズビアンがメインキャラクターなんですよね。


トリシア:私たちの次回作は、レズビアンの私立探偵が主人公のジャンル映画です。『ドライブアウェイ・ドールズ』とのつながりはなく、テーマ的にちょっと共通点を感じられるくらいです。


イーサン:主演が今回と同じマーガレット・クアリーですが、まったく違う映画になりますよ。



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監督/脚本/製作:イーサン・コーエン

1957年9月21日生まれ、アメリカ・ミネソタ州出身。兄のジョエルと共に長年映画製作に携わる。1991年、脚本を担当した『バートン・フィンク』が第44回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したのを皮切りに、『ファーゴ』(96)で第69回アカデミー賞脚本を受賞。そして“コーエン兄弟”としての監督作『ノーカントリー』(07)では、第80回アカデミー賞作品賞・監督賞・助演男優賞(ハビエル・バルデム)・脚色賞を受賞。さらに2013年には『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』で第66回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞するなど、数々の受賞歴を持つ。その他代表作として、『ビッグ・リボウスキ』(98)、『オー!ブラザー』(00)、『バーン・アフター・リーディング』(08)、『シリアスマン』(09)、『トゥルー・グリッド』(10)など。映画の他にも、戯曲、ラジオドラマ、小説、詩を執筆。妻のトリシア・クックと共にドキュメンタリー『JERRY LEE LEWIS: TROUBLE IN MIND(原題)』(22)を製作した。



脚本/製作:トリシア・クック

ジョエル・コーエン、イーサン・コーエンの作品を始め、多くの監督の作品の編集に携わる。パーム・スプリングスで開催されたレズビアンの祭典ダイナ・ショアのゴルフ・トーナメントを題材にした短編ドキュメンタリー「WHERE THE GIRLS ARE(原題)」(23)を製作したほか、夫のイーサン・コーエンとドキュメンタリー『JERRY LEE LEWIS: TROUBLE IN MIND(原題)』(22)を製作した。



取材・文: 斉藤博昭 

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。クリティックス・チョイス・アワードに投票する同協会(CCA)会員。




『ドライブアウェイ・ドールズ』

6月7日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国公開

配給:パルコ ユニバーサル映画

©2023 Focus Features. LLC.

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