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『ノーカントリー』主張も痛みも何もない恐怖。前時代に終止符を打つ「情の消失」

(C) 2007 by Paramount Vantage, a Division of Paramount Pictures and Miramax Film Corp. All Rights Reserved.

『ノーカントリー』主張も痛みも何もない恐怖。前時代に終止符を打つ「情の消失」

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2008年のアカデミー賞で主要4部門を独占



救いも拒絶も温度も、何もない。

情が消えた荒野が、ただ広がる。


 『ノーカントリー』(07)は、映画化もされた『すべての美しい馬』(00)『ザ・ロード』(08)で知られる小説家コーマック・マッカーシーの著書「血と暴力の国(原題:No Country for Old Men)」の映画化作。『ファーゴ』(96)のコーエン兄弟が監督を務め、世界の映画賞で163 受賞・134ノミネートと絶賛を浴びた。2008年の第80回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞の最多4冠に輝いた。


 この年のオスカーの対抗馬は、109受賞・136ノミネートのポール・トーマス・アンダーソン監督作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)。アカデミー賞では主演男優賞(ダニエル・デイ=ルイス)を受賞した。その他だと、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(07)が主演女優賞(マリオン・コティヤール)、『フィクサー』(07)が助演女優賞(ティルダ・スウィントン)を獲得している。


 ちなみに近年のオスカー関連作だと、映画賞の受賞数は『スリー・ビルボード』(17)が123 受賞・222ノミネート、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)が130受賞・334ノミネートだ。母数が違うため一概に比較はできないが、受賞数だけなら『ノーカントリー』はこの2作を上回っている。世界の映画人が『ノーカントリー』という作品に見出した“価値”がどれだけ高かったかを測る、1つの指標といえるだろう。



 成績の面では、世界興行収入1億7,000万ドル超を記録(米国国内だと年間36位となる7,428万ドル)。評価の面では、米国最大の映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で93%(トータルカウントは約282。9月9日現在)を記録。同等の得票数でいうと、『マイレージ・マイライフ』(09)が91%、『アメリカン・ハッスル』(13)が93%だ。


 日本では、第80回アカデミー賞授賞式後の2008年3月15日に封切られた。公開直前の3月11日には、劇中で冷酷無比な殺し屋を怪演し、オスカー俳優となったハビエル・バルデムが初来日。「暴力映画は本当は苦手」「劇中のおかっぱ頭は、トミー・リー・ジョーンズが持ってきた写真から着想を得て監督が決めた。撮影中は最悪の髪型の自分を見るのが苦痛だった……」とジョーク交じりに役柄とのギャップを語った。


 日本での公開初週の動員ランキングは惜しくもトップ10からは漏れ、11位だったが(1位は『魔法にかけられて』)、当時の記事によると、公開館数が41館だったのに対し、動員は公開2日間で約3万人、興行収入は約4,300万円(興行通信社調べ)と1館平均の稼働率が高く、堅調な結果を残した。



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