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『赤ちゃん泥棒』歓喜の歌からキューブリックまで!アナロジーで読み解くコーエン兄弟作品

(c)Photofest / Getty Images

『赤ちゃん泥棒』歓喜の歌からキューブリックまで!アナロジーで読み解くコーエン兄弟作品

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『赤ちゃん泥棒』あらすじ

アリゾナ州。強盗のハイと警察官のエドは刑務所で出会ってハイの出所後に結婚。しばらくしてエドに子供が出来ないという事実が分かる。思い余った二人は、家具王の下に生まれた5つ子の一人を盗み出すが、ハイの上司や脱獄してきた刑務所仲間に嗅ぎ付けられ、赤ちゃんを巡る争奪戦が勃発する。


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コメディ作家としてのコーエン兄弟



 『ノーカントリー』(07)や『トゥルー・グリット』(10)など、ヒリつくような暴力描写を静謐な抑えたトーンで描き、評価の高いコーエン兄弟だが、フィルモグラフィにコメディは少なくない。むしろ、ほとんどの作品は軸として「コメディ」が据えられて、サブジャンル的に「犯罪」や「殺人」が組み込まれていると言ってもいいだろう。また、ほとんどの作品で劇中の登場人物を別の何かの象徴として描いているのも特徴だ。


 たとえば『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(13)では、ネコを返すために右往左往するフォーク歌手を描きながら「ネコそのもの」を描いているし、『シリアスマン』(09)では、災難にばかり合う男を描き、旧約聖書ヨブ記を現代に置き換えてみせる。


『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』予告


 「描いている事象や人物が、そのままの意味を持たないコメディ」というのがコーエン兄弟の作風と言ってもいいだろう。そんなフィルモグラフィの中で奇妙な輝きを放つ作品が『赤ちゃん泥棒』(87)である。



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