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『ぶぶ漬けどうどす』冨永昌敬監督 × 企画・脚本:アサダアツシ 突き進む主人公はいかにして生まれたのか【Director’s Interview Vol.492】

『ぶぶ漬けどうどす』冨永昌敬監督 × 企画・脚本:アサダアツシ 突き進む主人公はいかにして生まれたのか【Director’s Interview Vol.492】

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エンドロールをなくした理由



Q:映画は不思議な読後感のある印象がありました。完成した映画を観ていかがでしたか。当初の想定通りの内容になっていたのでしょうか。


アサダ:これまでの作品は、自分が考えたことや書いたことを確かめながら観ることが多かったのですが、今回は純粋に映画鑑賞して楽しめました。思っていたよりも全然違う異質なものになったなと(笑)。こういう日本映画は最近あまりないし、観終わったときの感覚は他にはないものが味わえる。「こういう映画も世の中にあるよ」ということを知ってほしいですし、ぜひ観てもらいたいですね。


冨永:この映画はエンドロールがないので、みなさん観終わった後にどんな気持ちになって帰るのか、そこが楽しみです。京都を舞台にした作品だと『夜の河』(56)や『炎上』(58)など色々ありますが、そういうものに近づきたかった。ただ、そういった文芸映画が持っていた主人公の情念や屈託みたいなものとはちょっと違うことを今回は伝えようとしているので、この映画が終わったときに観客の中に一体何が残るのかなと。文芸映画のようにドス黒い情念を抱えて帰るのとは、またちょっと違いますからね。



『ぶぶ漬けどうどす』©2025「ぶぶ漬けどうどす」製作委員会


アサダ:普段はエンドロール中に気持ちの整理をすると思うんです。多分みなさんそういう映画の見方に慣れているので、映画が終わった瞬間に「出て行け!」となると、一体どんな感じで劇場を後にするんだろうなと(笑)。これは最近の映画ではめったに味わえないことですから。


冨永:観に来てくれたお客さんが、思っていたものと違っても嫌な感じにはならないというか(笑)。そういう終わり方にしたいと思って作りました。



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監督:冨永昌敬

1975年生まれ、愛媛県出身。おもな映画作品は『亀虫』(03)、『パビリオン山椒魚』(06)、『コンナオトナノオンナノコ』(07)、『シャーリーの転落人生』(08)、『パンドラの匣』(09)、『乱暴と待機』(10)、『目を閉じてギラギラ』(11)、『ローリング』(15)、『南瓜とマヨネーズ』(17)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)。ドラマ作品には「ひとりキャンプで食って寝る」(19/TX)、「彼女のウラ世界」(21/FOD)、「僕の手を売ります」(23/FOD)などがある。 前作『白鍵と黒鍵の間に』(23)は、フランスのKinotayo映画祭コンペティションにて審査員賞を受賞した他、Japan Cuts(ニューヨーク)、台北金馬映画祭や香港国際映画祭などに正式出品され、海外でも高い注目を集めた。




 

企画・脚本:アサダアツシ

奈良県出身。大学卒業と同時に放送作家になり、「ウゴウゴルーガ」(92/CX)でデビュー。以降、バラエティー、ドラマ、ドキュメンタリー、アニメなど様々な番組を手がける。近年は脚本家として活躍し、担当した主な作品に、『裁判長、ここは懲役4年でどうすか』(10)、『ペンギン夫婦の作りかた』(12)、『his』(20)、第45回ヨコハマ映画祭で脚本賞を受賞した『そばかす』(22)、「マジで航海してます。S1&S2」(17・18/MBS)、「カフカの東京絶望日記」(19/MBS)」、「チェイサーゲームW&W2」(24/TX)がある。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『ぶぶ漬けどうどす』

6月6日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー

配給:東京テアトル

©2025「ぶぶ漬けどうどす」製作委員会

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