
『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』真利子哲也監督 ×『ひゃくえむ。』岩井澤健治監督 インディーズから新たな挑戦へ【Director’s Interview Vol.518】
真利子哲也監督と岩井澤健治監督。自主制作を経て商業で活躍するようになった二人の新作映画が、この9月立て続けに公開される。それぞれの作品『Dear Stranger /ディア・ストレンジャー』(真利子哲也監督 9/12公開)と『ひゃくえむ。』(岩井澤健治監督 9/19公開)は、全国公開させる商業映画ではあるが、それぞれの企画の成り立ちや制作過程にはインディーズのスタイルが刻まれている。ジャンルの違いを超え、そのクリエイティブには共通するものを感じさせる二人の対談が実現。実はどこかで会っていたかもしれないという二人に、お互いの映画の内容からその制作スタイルまで、存分に語ってもらった。
『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』あらすじ
ニューヨークで暮らす日本人の賢治(西島秀俊)と、アジア系アメリカ人の妻ジェーン(グイ・ルンメイ)は、仕事や育児、介護と日常に追われ、余裕のない日々を過ごしていた。ある日、幼い息子が誘拐され、殺人事件へと発展する。悲劇に翻弄される中で、口に出さずにいたお互いの本音や秘密が露呈し、夫婦間の溝が深まっていく。ふたりが目指していたはずの“幸せな家族”は再生できるのか?
『ひゃくえむ。』あらすじ
生まれつき足が速く、「友達」も「居場所」も手に入れてきたトガシと、辛い現実を忘れるため、ただがむしゃらに走っていた転校生の小宮。トガシは、そんな小宮に速く走る方法を教え、放課後2人で練習を重ねる。打ち込むものを見つけ、貪欲に記録を追うようになる小宮。次第に2人は100m走を通して、ライバルとも親友ともいえる関係になっていった。数年後、天才ランナーとして名を馳せるも、勝ち続けなければいけない恐怖に怯えるトガシ(松坂桃李)の前にトップランナーの一人となった小宮(染谷将太)が現れるー。
Index
どこかで会っていたかもしれない二人
Q:お二人は以前からお知り合いだったのでしょうか。
真利子:お会いしたのは今日が初めてですが、いろいろと話は聞いておりました。
岩井澤:真利子監督の自主制作映画をポレポレ東中野でよく観ていました。僕も自主制作をやっていたので、真利子監督の『極東のマンション』(03)や『マリコ三十騎』(04)などを観て、「やっぱり自主制作はこれぐらいやらなきゃダメだな」と、かなり刺激を受けていました。『ディストラクション・ベイビーズ』(16)なんて、もう…、食らいましたね。
真利子:観ていただいたのですね。ありがとうございます。
『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』真利子哲也監督
岩井澤:これまでずっと作品を追っていたし、結構近い関係のところで繋がっていたこともあり、何となく初対面じゃない気もしますね。
真利子:(持参したパンフレットを手にして)この『音楽』(20)のパンフレットにも、知っている人の名前がいっぱい載ってました。
岩井澤:そうそう、どこかで会っている感じもありますね。