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『港のひかり』藤井道人監督 伝統に飛び込んで得た進化【Director’s Interview Vol.528】

『港のひかり』藤井道人監督 伝統に飛び込んで得た進化【Director’s Interview Vol.528】

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現状維持に対する興味は、1ミリもない



Q:キャリアを重ねていくと、現状維持が目標になる方は多いと思います。それは全く悪いことではなく、今いる立場を守ることにパワーを使うのも在り方のひとつですが、藤井監督の中にそうした想いはないのでしょうか。


藤井:1ミリもありません。昔は「なんでもっと売れないんだ」という怒りで映画を撮っていた時期もありましたが、いまはようやく自分のことを客観視できるようになって「そこにい続けようとする自分は気持ち悪い」と思うようになりました。「自分は次にどんなフェーズに進むんだろう」ということに興味があります。


Q:成功体験の踏襲といいますか。


藤井:舘さんのこともあって『ヤクザと家族 The Family』と関連性はあるんですか?といったような質問をよくいただくのですが、自分の中では全くの別物です。『ヤクザと家族』は自分の身の回りの話を描いたものですが、今回は父から聞いた寓話を自分が継承して映画化したような感覚です。自分の作品づくりに関しては、毎回違っていていいと思っています。『 港のひかり』と「イクサガミ」は、そういう意味でもダブルチャレンジでした。



『港のひかり』©2025「港のひかり」製作委員会


Q:河村さんと木村さんに対して、藤井監督の中で共通項はありますか?


藤井:いや、全く違う2人です。河村さんは父子のような間柄で良い意味で尊敬していませんでしたが、大作さんは映画業界をずっと気にかけてきた伝説的な名匠だと思うのでやはりリスペクトがありました。日々緊張感がありましたし、彼自身もその覚悟を持って現場にいてくれたと思います。カメラを覗いているときだけは子どもに返っていましたが、歴史博物館に来たような気分になることも多かったですし、レジェンドに対する尊敬の念はありました。河村さんはどちらかといえば、トラスト(信頼)という感覚です。





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