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『遠い人』玉田真也監督 1テイク目の演技が良い理由【Director’s Interview Vol.531】

『遠い人』玉田真也監督 1テイク目の演技が良い理由【Director’s Interview Vol.531】

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動線を作れるロケ場所を選ぶ



Q:撮影現場ではモニターを見る玉田さんが楽しそうでした。実際の現場はいかがでしたか。


玉田:現場は楽しかったですよ。そもそも現場が好きなんです。脚本を書いているときは一人ですし、その時間が好きだという人もいますが、僕はあまり好きじゃなくて。撮影本番の日とか、リハの日とか、人と何かを一緒にやるのがやっぱり楽しいですね。今回のスタッフは初めましての方が多かったですが、俳優陣はよく知っている人が多かったので、何だか楽しかったです。しかもロケは泊まりだったしね。東京で撮影していると、終わったら毎回家に帰るので「ご飯に行こう」というのもなかなか無い。でも同じ場所に泊まっていたら「じゃあちょっと行きますか?」となる。その時間って意外といいんです。


Q:東京で撮影していて家に帰ると、現場の賑やかな感じと比べてギャップがあったりするのでしょうか。「撮影から家に帰ると寂しく感じる」と思う俳優もいるようですが。


玉田:家に帰ったら疲れ果てていることが多いですね(笑)。撮影って大体朝早くから夜遅くまでやるので、帰ったらご飯食べてお風呂入って寝るだけみたいな感じです。次の日も朝早いことを考えると、「孤独だなぁ」とはあまり思わないですね。撮影中は明日のおさらいをしなきゃと思いつつ、今日は眠いから明日朝早く起きて予習をしようとか。そういう感じなので自分の感情が出てくる暇もなかなかない。だから、そんなに情緒的じゃないかもしれません(笑)。でも撮影が全部終わって、明日から撮影が無いとなると毎回ポカーンとなっていますね。



NORMEL TIMES ショートフィルム『遠い人』


Q:今回の現場はいわゆる“待ち時間”があまりなく、監督は朝から晩まで常に演出したり打合せしたりと忙しそうでした。


玉田:体感としては、この現場キツイなという感じでもなく、健康的なスケジュールだったと思います。運が良いことに毎日晴れていたので、天気待ちが発生しなかったんです。また、1日のスケジュールは助監督が作るのですが、それもすごく良かったのだと思います。そのスケジュールがうまくいかないと“待ち”が発生しちゃう。今回はバランス良く組まれていましたね。


Q:現場ではカメラが常に動いていましたが、完成した作品では、カメラは動いているものの不思議とゆったり落ち着いている印象がありました。


玉田:今回は特にそうだったのですが、僕の作り方はシーンのカット数が少ないんです。ほぼワンシーン・ワンカットなので、カット数が少ない割にそれなりの芝居量がある。そうすると、俳優を動かしたくなってくる。その動線を作れるようなロケ地をロケハンの時点で選んでいきます。俳優とカメラの面白い動きを作れそうな場所を選び、動線やカメラの動きを撮影前に考えていきます。それで動いている印象があるのかもしれませんが、意味なく動いているわけではないので、悪目立ちもしないのかなと。撮影の山田弘樹さんとは今回初めてご一緒しましたが、山田さんもカメラを動かすのが好きなようでしたね。




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