ショートフィルム『遠い人』が、ウェブメディアNORMEL TIMESで配信中だ。監督・脚本を手掛けたのは、劇作家であり演出家でもある玉田真也氏。本作はNORMEL TIMESのテーマでもある「営業時間外」を元に企画されたショートフィルム。今回CINEMOREでは本作の製作に参加、企画・撮影からポストプロダクション作業に至るまで、その制作過程に密着した。
玉田監督はいかにして『遠い人』を作り上げたのか。本作の現場に帯同した視点も踏まえ、玉田監督の脚本・演出術について話をうかがった。
ウイスキーとその周辺の文化を愛するメンバーでつくっている私的な新聞のようなウェブメディア。休憩時間、帰り道、食事中など、肩書きや規則から解放される「営業時間外」を大切にしようというテーマを元に運営されている。
※本記事はCINEMORE Podcastで配信した内容をテキスト化・編集したものです。Podcastでもぜひお楽しみください。
『遠い人』予告
『遠い人』あらすじ
台湾から到着したばかりの大学生のポン・ルイユン(李夢苡樺/リ・モンイファ)は、台北で知り合った恋人・祐太の母親である美弥子(坂井真紀)と待ち合わせしている。場所は千葉の海の近くの駅。3人で旅行する約束をしていたのだが、祐太が仕事で遅れることになったため、初対面のルイユンと美弥子は居心地の悪い時間を過ごすことになる。
Index
人間関係の“あるある”を詰め込む
Q:「営業時間外」というテーマを聞いていかがでしたか。
玉田:僕の仕事の場合、会社勤めじゃないので9時〜5時とかは無いんです。ほとんどは執筆をして過ごしているので、脚本を書いている時間が一番長い。決まった時間も特になく、家や近所の喫茶店にダラダラいて、捗ればやるし、もう今日は無理だなと思ったらやめる。だからもう、営業時間というのがどこからどこまでかわからなくなっていて、常に営業時間だし常に営業時間外みたいな感じです(笑)。それが普通になっているので、会社に勤めている人とのギャップがまずあるなと。そこから考えていかなきゃと思いました。
Q:では、テーマとしては難しかったのでしょうか。
玉田:いえ。理解しやすいテーマではあるし、要は自分の余暇をどうやって使うかという話だろうなと。

NORMEL TIMES ショートフィルム『遠い人』
Q:この物語を着想されたきっかけを教えてください。
玉田:もともとロードムービーをやりたかったのですが、仲良い二人で旅をするだけじゃ面白くないなと。でも仲が悪い二人だと旅が成立しない。仲良くしなきゃいけないけれど、それほど関係性があるわけではない二人にしたら、ギクシャクしながら、小さな対立が起きながらも旅を成立することができる。そんなに仲が良いわけではない人と二人きりでいなきゃいけない場面とか、日常でもたまに発生しますよね。そういう関係性をやりたいなと。彼氏の母親と初めて会う彼女が旅をして、しかも国籍も違う。仲良くなりたいのに、どうやって仲良くなれば良いかわからない。そんな人間関係の色んな“あるある”を詰め込めるなと。