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『ランニング・マン』エドガー・ライト監督 同じ原作からの2度目の映画化は特別なチャンス【Director’s Interview Vol.536】
大音量でスコアを流しながら撮影
Q:あなたの作品はつねに音楽が印象的に使われます。
ライト:たしかに『ベイビー・ドライバー』では登場人物が実際に聴いている曲で作品を構成していましたし、『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』では舞台となる時代の曲を多用し、サウンドトラックにもこだわりました。そうした作品と違って、『ランニング・マン』にはニードル・ドロップ(既成曲の使用。レコードに針を落とす、という意味から)が少なめです。共同脚本のマイケル・バコールが、初期の草稿段階で本作の流れに沿った曲をいくつか提案してくれましたが、それらでサウンドトラック・アルバムを作るほどではないです。
Q:つまり新たに作曲したスコアを重視したのですね。
ライト:作曲担当のスティーヴン・プライスが、ロンドンのアビー・ロードでスコアを録音してくれました。撮影前に彼のスコアの一部が完成されていたので、僕はそれをセットで大音量で流しながら撮影しました。セルジオ・レオーネ監督が『続・夕陽のガンマン』(66)の現場で、エンニオ・モリコーネのスコアを流しながら撮影したという話を聞き、僕もたまに真似するんです。これこそ“真の映画音楽”ですよね(笑)。いずれにしても僕の映画では、つねに音楽が重要な位置を占めています。

『ランニング・マン』©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
Q:原作が書かれてから40年以上が経ち、『ランニング・マン』が描く格差社会やディストピアの風景は、むしろ今、リアルに迫ってくる気もします。
ライト:1982年に出版された原作は、この世界がどこに向かっているのかを予言している感じがしました。残念ながら、その予言は当たっているようです。僕らが脚本に取り掛かったのは2022年の初めで、映画が完成する数年後の世界を予言したわけではありません。映画とはそういうものです。ひとつだけ言えるのは、最下層のベン・リチャーズが巨大なネットワークと対決する構図、つまり弱者が権力に立ち向かう物語に、現在の世界を生きる多くの人が共感する、ということでしょう。
Q:本作のように、2度目の映画化やリメイクに今後も着手する可能性はありますか?
ライト:思いのほか楽しかったので、可能性はあると思います。『スコット・ピルグリム~』でも実写作品を監督し、その後のアニメシリーズで製作を担当しましたから。重要なのは確固たる視点です。自分が再創造したいと本気で思えるかどうか。映画作りは本当に過酷なプロセスですから、強い信念がないとやり遂げることはできないのです。
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監督/脚本:エドガー・ライト
イギリスが誇る映像の天才。『ショーン・オブ・ザ・デッド』でホラーとコメディを絶妙に融合させ、世界的なカルト人気を獲得。音楽とカーアクションを完璧にシンクロさせた『ベイビー・ドライバー』では、その革新的な演出術が絶賛され大ヒットを記録。リズミカルな編集と細部まで計算された視覚的ユーモアを武器に、ジャンルの垣根を超えて映画ファンを魅了し続ける唯一無二のスタイリスト。その他作品に『ラストナイト・イン・ソーホー』など。
取材・文:斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。クリティックス・チョイス・アワードに投票する同協会(CCA)会員。
『ランニング・マン』
1月30日(金)公開
配給:東和ピクチャーズ
©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.