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『ランニング・マン』エドガー・ライト監督 同じ原作からの2度目の映画化は特別なチャンス【Director’s Interview Vol.536】
大胆奇抜なゾンビ・コメディの『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04)から、近年の『ベイビー・ドライバー』(17)、『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』(21)と、つねに映画ファンの心をときめかせる“オリジナル”な快作を放ってきたエドガー・ライト監督。この新作『ランニング・マン』(25)は、別の意味で注目されている。すでに1987年に『バトルランナー』として映画化された、リチャード・バックマン(スティーヴン・キングの別名)の原作を再び映画化したからだ。
高額賞金を目指してTVのリアリティ番組に参加した主人公が、30日間、過酷な逃亡とサバイバルを繰り広げる『ランニング・マン』は、これまでのエドガー・ライト作品に比べ、王道のアクションエンタテインメント的な作りが濃厚。『バトルランナー』との対比や、演出のこだわりなど、ライトへの単独インタビューで迫ってみた。
『ランニング・マン』あらすじ
職を失い、娘の治療費に困るベンは、巨額の賞金が得られるというリアリティショー「ランニング・マン」に参加する。しかしその実態は、殺人ハンターの追跡に加え、全視聴者すら敵になる、捕まれば即死の30日間の"鬼ごっこ"、生存者ゼロの究極の“イカれた”デスゲームだった。
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忘れた頃に届いたプロデューサーからの贈り物
Q:これまでのあなたの監督作は、どこか先鋭的、独創的なスタイルにこだわっている印象もありましたが、今回は正統派のアクション大作という捉え方もできます。
ライト:基本的に僕は、アクションを重視する傾向にあると思います。『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(10)もそうでしたし、『ベイビー・ドライバー』も完全にアクション映画と呼んでいいでしょう。今回の『ランニング・マン』は、過去の作品の中で『ショーン・オブ・ザ・デッド』に近いと思っていますよ。
Q:どんな共通点があるのでしょう。
ライト:冒頭からラストまで、主人公の行動を見つめている点です。映画を観る人も、彼らと一緒に時間を過ごすのです。『ランニング・マン』で主人公ベン・リチャーズの目を通して冒険のすべてを体験してもらうことは、原作の意図でもある。ですから劇中で、ベンが出てこないシーンは極力少なくしています。

『ランニング・マン』©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
Q:原作の意図に従ったということは、原作に惚れ込んでの映画化ということなのですね。
ライト:はい。10代の頃、リチャード・バックマンの原作を読み、強烈さが心に残りました。その後に映画の『バトルランナー』を観たので、「ゲームの内容も変えられてしまった。これはかなり、ゆるい翻案だ」と感じたのも事実です。いま振り返れば、『バトルランナー』もオリジナリティに溢れた作品だと言えます。当時の僕は、原作に忠実に映画化することを美徳と思い込んでいたのでしょう。
Q:いずれにしても、いつか自分で映画化することは念願だった?
ライト:2008年くらいに、原作映画化の権利元を探したところ、うまくたどり着けなかったんです。それですっかり頭から離れていたのですが、2021年に(プロデューサーの)サイモン・キンバーグからメールが届きました。何とそこには「『ランニング・マン』の映画化に興味ありますか?」と書かれているではないですか!突然のプレゼントをもらった気分で「もちろんです」と即答しました。
Q:同じ原作からの2度目の映画化という点で、特別な心構えはありましたか?
ライト:2度目の映画化は、ある意味で特別なチャンスです。前回と同じように作る必要はないですし、1回目の映画化作品からどう逸脱するか、その理由を見つけられれば、2回目でも最高の映画ができるはずだからです。僕が気に入っている過去の例では、『ハエ男の恐怖』(58)とデヴィッド・クローネンバーグ監督の『ザ・フライ』(86)ですね。両方とも、それぞれの魅力を満喫できました。原作の有無は別にして、名作をリメイクする場合、オリジナルを映像ごと模倣した作品もありますが、それは僕には理解できません。「以前の作品をもう一度観直せばいい」という感想になるわけですから。