夫婦になった、綾瀬はるかと大悟
Q:哲学的で論理的に感じる構成の中、綾瀬はるかさんと大悟さんという人間的魅力の塊のような二人が中心にいることも面白く、バランスが取れているようにも思いました。
是枝:あの二人、良かったでしょ(笑)。そこはうまくいきましたね。ガラスと木のような全然違う二つのものを一つにするようなことは、今回の大きなテーマであると同時に核でもある。綾瀬さんと大悟さんのイメージからは「あの二人が夫婦なの?」と思われるかもしれませんが、それをどう「この夫婦あるかもね」と思わせるか。そこはとても大事なところでした。チャレンジした部分でしたが、良かったと思います。
Q:初顔合わせの大悟さんにはどのように演出されたのでしょうか。
是枝:健介のプロフィールを作って渡し、本読みもリハもやって、演じる役者たちで家族の時間を持ってもらうこともやりました。そこは通常通りです。大悟さんは現場に入る前にちゃんと読み込んで来られていて、自分なりのアレンジも加えていました。待ち時間には(桒木)里夢に「練習しよう」と声をかけて、セリフの掛け合いをしていましたね。それは子供のためだったのかもしれませんが、ご自身としても練習していたのだと思います。僕から「そこは違います」と指摘するようなことも一度もなかったです。
Q:綾瀬さんとは今回2度目のタッグです。
是枝:綾瀬さんにはプロット段階のものを読んでもらい、意見をもらいました。それを脚本に反映するというキャッチボールを1年以上前からやっていたんです。そこは大きかったですね。

『箱の中の羊』©2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
Q:翔を演じた桒木里夢くんも、これまでの是枝作品に出てきた子とはまた違った魅力に溢れていました。どのように選ばれたのでしょうか。
是枝:何度もオーディション重ねました。男の子は会うたびに印象が変わるんです。難しかったですが直感を信じました。最終的には4人残して、大悟さんと一緒にお風呂場のシーンをやってもらいました。その感じが決め手でした。
Q:普通の子供じゃなくて「ヒューマノイド」というところがまた難しいですね。
是枝:いつも選んでいる基準だけではなく、瞬間的に「人間じゃないもの」に見えるような要素も必要でした。もちろんメイクなど色々工夫していますが、選ぶにあたってはそこの決め手もありました。
Q:子役に接するときは色々なパターンがあるとは思いますが、今回はどのような感じで演出されましたか。
是枝:今回は台本を渡したので、多分ざっと目は通していると思います。でも完璧にセリフが入っているわけではない。現場で綾瀬さんや大悟さんとやりとりしながらセリフが固まり、やっと自分のものになっていく。そこは結構時間が掛かっています。待ち時間に大悟さんが、「翔、パパと練習しよう」と呼んで練習してくれていたので、その時間がうまくお芝居に反映できたかなと。