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『急に具合が悪くなる』濱口竜介監督 映画を牽引した、原作の持つ“力” 【Director’s Interview Vol.565】

『急に具合が悪くなる』濱口竜介監督 映画を牽引した、原作の持つ“力” 【Director’s Interview Vol.565】

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最初のラッシュで感動させるか否か



Q:本作の上映時間は196分です。脚本段階で想定していた尺と、実際の完成版に違いはありましたか。編集作業において“尺の調整”を意識されることはありますか。


濱口:脚本段階では4時間くらいあったので、まずその状態で撮らせてくれたプロダクションに感謝しています。誰かから言われて短くしたわけではなく、編集の山崎梓さんと一緒に「最も緊張感を保って観られる尺」を探していった結果、196分になりました。 撮影した結果、セリフでの説明が不要と判断した部分や、医療・介護の観点からエクスキューズとして必要だと思っていた場面も削ぎ落とし、登場人物のエモーションに集中するようなつくりを目指しました。この作業の積み重ねで「おそらく一番短いバージョン」ができたという感覚です。



『急に具合が悪くなる』© 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula - Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners


Q:多くの監督は映画を作る際、プロデューサーからの希望によって削らざるを得ない場合が多々あると思いますが、濱口さんの場合はそれがないのでしょうか。また、物語を伝えるのに導き出した最適な尺は、その先に観客がある故ということでしょうか。


濱口:プロデューサーから何も言われないわけではありません(笑)。編集過程で、現在の尺数を知ったプロデューサーから当然、「もうちょっと尺を短くできないのか」という懸念はありました。


なので、プロデューサーに見せる最初のラッシュで彼らの心を芯から震わせることができるか、感動させられるか否かにすべてがかかっていると思って編集作業をしていました。それ以降の修正はほとんど考えていなくて、「この尺以外はあり得ないのだ」とプロデューサーに体感させるように編集しようと、山崎さんとも作業していました。彼らは実際、最初のラッシュの後とても感動していました。そのうえで「短くできる可能性はあるのか、たとえばこの部分」と言ってきたときに、「でも、まさにこの部分があったからこそ、そういう感情になるんです」と、一つ一つちゃんと説明して納得してもらいました。もちろん観客のことも見ていますが、「最初の観客」として経済的なリスクを負っているプロデューサーに納得してもらうプロセスはとても大事なものです。結果的に、彼らはそのリスクを受け容れてくれた。自分の映画に対する考え方を、そこに至るまで徐々に共有しながら進めたことで、この尺を受け入れてもらえたのだと思います。そのことを、とても感謝をしています。



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監督/脚本:濱口竜介

1978年12月16日、神奈川県生まれ。08年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も日韓共同制作『THE DEPTHS』(I0)が東京フィルメックスに出品、東日本大震災の被害者へのインタビューから成る『なみのおと』、『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(11-13/共同監督:酒井耕)、4時間を超える長編『親密さ』(12)、染谷将太を主演に迎えた『不気味なものの肌に触れる』(13)を監 督。15年、映像ワークショップに参加した演技未経験の女性4人を主演に起用した5時間17分の長編『ハッピーアワー』が、ロカルノ、ナント、シンガポールほか国際映画祭で主要賞を受賞。その後も、商業映画デビュー作『寝ても覚めても』(18)がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出、短篇集『偶然と想像』 (21)がベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員大賞)受賞する。また、共同脚本を手掛けた黒沢清監督作『スパイの妻〈劇場版〉』(20)はヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞。商業長編映画2作目である『ドライブ・マイ・カー』(21)がカンヌ国際映画祭で脚本賞をはじめ4冠、米アカデミー賞®で日本 映画初の作品賞含む4部門にノミネートされ、見事国際長編映画賞を受賞したほか、各国の映画賞で外国語映画賞のみならず、作品賞や脚本賞、主演男優賞などを多数受賞という快挙を果たし、日本国内の映画賞も席巻、日本アカデミー賞では最優秀作品賞を含む9賞を獲得した。続く『悪は存在しない』(24)はヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員賞)を受賞、この受賞により米アカデミー賞®と世界三大映画祭すべてで主要賞受賞を果たした黒澤明以来2人目の日本人監督となった。新作を発表するごとに、その動向が注目される、日本を代表する映画監督である。なお、第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された本作は自身初の海外撮影作品となる。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『急に具合が悪くなる』

6月19日(金)全国ロードショー

配給:ビターズ・エンド

© 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula - Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners

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