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『トロフィー』孫明雅監督 × 撮影監督:山崎裕 年齢差49才!タッグを組んだ新人監督とカメラマン【Director’s Interview Vol.573】

『トロフィー』孫明雅監督 × 撮影監督:山崎裕 年齢差49才!タッグを組んだ新人監督とカメラマン【Director’s Interview Vol.573】

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助監督はアクセル、監督助手はブレーキ



Q:面白い映画を作るためには「できるだけ個人的な映画を作ること」「自分の周囲の世界を描くこと」などとよく言われますが、本作はまさにそれを体現した作品です。西川美和監督からも「あなたの中の爆弾を映画にしてみたら?」と言われたそうですが、実際に撮ってみていかがでしたか。


孫:自分のことも入っていますが、取材した際の子どものことを考えてやっていました。高校では別の道に進みたかったのに、親が朝鮮学校の先生をしているのでそれが叶わず、仕方なく朝鮮学校に通っている子がいました。あまり学校に行きたがらず不安定になっていた。すごく共感しましたし、私もその気持ちは分かる。でもその親のことも分かると思ったんです。だからその子のことを考えながら脚本を書いていましたね。


私自身も朝鮮学校に通っていて、親も朝鮮学校の先生をしていて、その仕事が大変すぎて家がグチャグチャになっていました。「家族より大事な朝鮮学校って何なの?」とずっと思っていて、まさにそこの部分が爆弾でもあり怒りでもある。心の中でずっと抱えているものでした。



『トロフィー』©2026 K2 Pictures


Q:山崎さんはいろいろな新人監督のデビューに立ち会ってこられましたが、孫監督はいかがでしたか。


山崎:わりとしっかりしていましたよ。僕は初監督の人や2本目の新人とやることが多いのですが、孫監督は視野が広い方じゃないかな。映画監督をやろうなんて思う人は、思い込みが強いか、ある程度視野が広いか、どっちかでしょうね。そんなに強く入り込んでないという感じもして、どこか冷めているところはある。


Q:それは、分福の監督助手の制度で学び経験を積まれたことも関係しているのでしょうか。


孫:それはありますね。


山崎:僕もあると思いますね。「監督助手」というのは是枝組が作った制度で、「助監督」ではない。助監督はアクセル、監督助手はブレーキ。監督助手は監督がやっていることに対して「これで良いんですか?」と意見を言う。     


孫:でも分福以外の監督についた時にそれをやったら、「はぁ⁉︎」って言われました(笑)。


山崎:普通は「なんでお前が言うんだ」ってなるよね(笑)。


孫:「なに言ってんの?」みたいな(笑)。


山崎:監督助手をやっていると、是枝監督はじめ分福の監督たちの現場で生まれていく世界を、ある程度客観的に見る訓練が出来ちゃう。助監督はいかにしてスケジュールを進行させるだとか、役者のケアだとか、そっちに気を使うんです。監督助手は「ちょっと待った」と言わなければならない立場。それはなかなかですよ。


孫:なんか山崎さんがいてくれたおかげで、現場はメッチャ楽しかったです。山崎さん、もうめちゃくちゃでしたから(笑)。橋の上で撮影している時に、トイレに行きたくなったからってソヒの劇用自転車に勝手に乗ってコンビニに行っちゃうし。で、帰りに全員分のアイスを買って来るんです(笑)。そこも含めて全部が「山崎さん」って感じなんですよね。面白すぎてみんな山崎さんの話で盛り上がってましたね。


Q:山崎さんが和ませてくれたんですかね(笑)。孫監督は長編ということで緊張している部分はありましたか。


孫:最初は緊張していましたが…、でも他人の現場の方が緊張しますね。現場を止めて変な空気にしちゃいけない、「いらんことしたらあかん」とすごく緊張するんですが、自分の現場は緊張しなかったですね。


山崎:大体そうですよ。メインになったらあんまり緊張しないんだよね。助手の時の方が緊張してた。自分が失敗したらカメラマンとか監督に迷惑をかけるしね。でも自分がカメラマンになっちゃったら、自分が覚悟すればいいだけの話だからね。



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監督/脚本:孫明雅

1989年、大阪出身。在日コリアン3世。関西大学卒業後、テレビの制作会社に勤務。2017年より分福に所属。西川美和監督の『すばらしき世界』、是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』で監督助手を務めた。そして初監督作品である短編映画『夢のつづき』がショートショートフィルムフェスティバル&アジア2025秋の国際映画祭で上映された。




撮影監督:山崎裕

日本大学芸術学部映画学科卒業。24歳で、長編記録映画『日本の華 浮世絵肉筆』でフィルムカメラマンデビュー。その後、記録映画、CM、TVドラマ、TVドキュメンタリー等幅広く活躍。1998年『ワンダフルライフ』(是枝裕和監督)で長編映画にも進出し是枝作品を多数てがけ『誰も知らない』(04)『歩いても 歩いても』(08)などがある。その他の主な作品には「沙羅双樹(河瀬直美監督)(03),「永い言い訳』(西川美和監督(16,『大いなる不在』近浦啓監督(23)等がある。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『トロフィー』

7月10日(金)テアトル新宿ほか順次公開

配給:K2 Pictures

©2026 K2 Pictures

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