『カッコーの巣の上で』あらすじ
1963年9月のある日、オレゴン州立精神病院に一人の男が連れられてきた。ランドル・P・マクマーフィ。彼は刑務所の強制労働を逃れるために狂人を装っていた。しかし精神病院はもっと悲惨な状況にあった。絶対権限を持って君臨する婦長によって運営され、患者たちは無気力な人間にされていたのだ。さまざまな手段で病院側に反抗しようとするマクマーフィに、患者たちも心を少しずつ取り戻し始めた。そんな彼の行動に脅威を感じた病院は、電気ショック療法を開始するが、マクマーフィも脱走を計画し始める…。
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普遍的なテーマ性が熱く訴えかけるもの
がんじがらめに管理しようとする体制側と、それに抗って自由を獲得しようとする個人————。私たちはどれほど多くの映画でこういった対決の構図を目の当たりにしてきたことだろう。ざっと思い返してみただけでも、『1984』(84)『いまを生きる』(89)『トゥルーマン・ショー』(98)『マトリックス』(99)などなど、地中から水が噴き出すかのように有名作のタイトルが止まらなくなる。
この「組織と個人」「管理と自由」というテーマは、あらゆる時代、そしてあらゆるジャンルの映画に形を変えて潜り込み、観客の心を熱くたぎらせてきた。人類が宿命のごとく格闘し、その時代に合わせて答えを模索してきた、普遍的な題材と言えるのかもしれない。
1975年11月。アメリカで封切られた一本の映画が、観客の大きな感動を呼び、大ヒットを記録した。アメリカン・ニューシネマの時代が幕を降ろそうかというご時世に、颯爽と舞い降りたこの作品こそ、『カッコーの巣の上で』である。
『カッコーの巣の上で』予告
舞台となるのは、60年代の精神科病棟。看護師長の手によって厳格に統制されたその場所に、ジャック・ニコルソン演じる精神疾患を偽った受刑者が入り込んできたのをきっかけに、患者たちの間で自由を求める大きなうねりが巻き起こる。つまり、本作もまた「組織と個人」「管理と自由」というテーマを扱った代表的な物語なのだ。