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『ミーン・ストリート』マーティン・スコセッシ&ロバート・デ・ニーロの初タッグにみる、ギャング映画の原点
『ミーン・ストリート』あらすじ
ニューヨークのリトル・イタリー。出世を夢見るチンピラのチャーリー(ハーベイ・カイテル)は、今の生活に区切りを付けようとしていた。しかし、親友のジョニー・ボーイ(ロバート・デニーロ)はそんな事を気にかける様子もなく借金取りに追われる日々を送っていた。ジョニーは、借金に首が回らない状態になっていたが、チャーリーだけが彼をかばい続け、2人は徐々に追い詰められていく。
Index
- 名コンビ、スコセッシ&デ・ニーロのギャング映画の原点
- リトル・イタリーを描いたスコセッシの自伝的なストリート映画
- ロジャー・コーマンやジョン・カサヴェテスが若きスコセッシを認めた
- スコセッシの生々しい感覚が堪能できる最高の音楽映画
- 名優ロバート・デ・ニーロの原石の輝き
名コンビ、スコセッシ&デ・ニーロのギャング映画の原点
海外では絶大なる評価を受けている『ミーン・ストリート』は、マーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロの73年の出世作だ。日本では本国よりも7年遅れの80年の封切り。しかも、ロードショー館としては小ぶりの劇場(丸の内松竹など)でひっそり上映された。
すでに『タクシー・ドライバー』(76)も、『ニューヨーク・ニューヨーク』(77)も公開されていたし、デ・ニーロに関していえば、『ゴッドファーザーPARTⅡ』(74)でアカデミー助演男優賞を受賞後の公開。スコセッシ&デ・ニーロの埋もれた初期の代表作という認知はあったが、より完成度の高い『タクシー・ドライバー』が先に公開されていたせいか、当時は本国ほど評判にならなかった。
その後、ビデオやDVD、配信などで発見してファンになった人もいるだろうが、スコセッシ&デ・ニーロが9度目のコンビを組んだ大作『アイリッシュマン』(19)が話題を呼んだこともあり、もう一度、この作品を見直してほしい。その後のスコセッシのギャング映画のエッセンスがたっぷり盛り込まれているからだ。
デ・ニーロと共演しているのは、『アイリッシュマン』にも顔を見せていたスコセッシ組のハーベイ・カイテルだし、東海岸の都市のストリートで生きるギャングたちの描写にも共通点がある。
そして、スコセッシ映画のトレードマークともいうべき、古いロックやイタリア系のポピュラーソングなどの使い方も冴えている。新作だけではなく、『グッドフェローズ』(90)や『カジノ』(95)といったギャング映画にも引き継がれるスコセッシ流の映画メソッドが、この初期の出世作には詰まっていて、原石の輝きを発見できる作品になっている。