1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ヒドゥン
  4. 『ヒドゥン』車!ロックンロール!女!不良の与太話と職人技が光るSFアクション
『ヒドゥン』車!ロックンロール!女!不良の与太話と職人技が光るSFアクション

(c)Photofest / Getty Images

『ヒドゥン』車!ロックンロール!女!不良の与太話と職人技が光るSFアクション

PAGES


ビッチ!車!ロックンロール!



 しかし何と言っても。何をおいても。本作の魅力は宇宙人の性格設定に尽きる。


 まず、そもそも「悪い宇宙人」が悪くあるために悪さを重ねているようにしか思えない点だ。凡庸な良識人に取り憑くと強盗を重ねる。その体が壊されてしまい、たまたま近くにいた病人に取り憑くと、レコード店で万引き三昧。咎められたら相手を撲殺。レストランでハードロックをラジカセでガンガン流しながら食事をしつつ、店の前を通るフェラーリを追って店を飛び出し、そのまま車を強奪。と、とにかく悪いことだけを重ねていく。金を奪っても金は使わない。“金を奪う”こと、そのものが目的という本末転倒さだ。



『ヒドゥン』(c)Photofest / Getty Images


 さらに、女性にも目が無いのだが、やはり本末転倒さは健在だ。フェラーリで道を流し、見よう見まねでナンパをしてみて失敗すると、腹いせとばかりにストリップバーでイカすビッチのストリッパーを乗っ取る。快楽を求めるとか、子孫繁栄のために女性を狙っているのでは無い。単に“イカすビッチ”な状態の女性が好きなだけなのだ。


 これらを、その制作過程を念頭に考えてみれば、その蛮勇が立ち上がってくるだろう。フェラーリを出したい。ハードロックをガンガンかけたい。イカすビッチも登場させたい。SFで。


 そんなコンビニ前でたむろする不良が思いついたような与太話を「そーいうのが好きな宇宙人」と、やはり不良が思いついたような設定で押し通してしまうのだ。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ヒドゥン
  4. 『ヒドゥン』車!ロックンロール!女!不良の与太話と職人技が光るSFアクション