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『ロマンスドール』虚偽を脱いで、愛の形をふたりで創る――セックスという“受容”の温もり

『ロマンスドール』虚偽を脱いで、愛の形をふたりで創る――セックスという“受容”の温もり


『ロマンスドール』とリンクする3つの作品



 「早すぎた」アイデアだった『ロマンスドール』が、ようやく時代のニーズと合致した――その理由は、つまりラブドールが“メジャー”になった原因は、どこにあるのだろう? 断定はできないが、この15年間の間に世に放たれた3つの映像作品が、1つの要因といえるのではないか。それは、『ラースと、その彼女』(07)、『空気人形』(09)、『四畳半神話大系』(10)だ。いずれも、ラブドールを題材にした作品であり、奇しくも『ロマンスドール』の原作と前後する時期に発表されている。


 興味深いのは、この中で最も初期に作られた『ラースと、その彼女』も、脚本を受け取ったクレイグ・ガレスピー監督が「ラブドールに恋をする」というテーマが観客に受け入れられるのか半信半疑だったため、4年間寝かせていたということ。日本だけの事象ではなく、海外においてもまだ「準備ができていなかった」ことがうかがえる。



 思えば、是枝裕和監督が『空気人形』を発表した当初も、原作漫画「ゴーダ哲学堂 空気人形」の発表から約10年の月日が経っている。こちらはR15+指定で刺激的な描写もしっかりと盛り込んだが、興行的には赤字になってしまった。一概には言えないが、やはり日本ではまだ市民権を得たテーマではなかったのだろう。


 その翌年に放送されたテレビアニメ『四畳半神話大系』には、ラブドールの愛好家が登場する。こちらでは性的な要素は描かれず、プラトニックな恋愛の在り方として男性とラブドールの関係がつづられている。この作品は湯浅政明監督の出世作として高く評価され、テレビアニメ作品として初めて、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞した。ラブドールの愛好家はメインの主人公ではないにせよ、これらの躍進によりラブドールに対する認識が多少なりとも変化したことは、想像に難くない。前述の「今と昔の愛人形」展に足を運んだ人々の中にも、『四畳半神話大系』の視聴者は少なからずいただろう。



 あくまで雑感ではあるが、これらの作品を経て少しずつ、ラブドールを描ける機運が高まっていったのではないだろうか。「様々な愛の形を許容する」という意味では、マイノリティをメインに描く近年の映画界の流れも、大いに関係しているように感じる。『ロマンスドール』という作品が大輪の花を咲かせる土壌は、映画を問わず小説や漫画やアニメなど、多くのメディアが“肥料”となったことで醸成されたのだ。



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