人の顔の皮を装着した殺人鬼登場! そして事態は地獄絵図へ
カークとパムのその後に話を勧めよう。廃屋の裏手から聞こえてきたガソリン発電のエンジン音。その家の住人にガソリンを分けてもらおうと、彼らはそこへ向かうが、その屋敷こそがレザーフェイスの住む家であった。薄暗い廊下の奥に光る赤い壁に、突如現われるレザーフェイス、そしてハンマーで殴られるカーク。ここからレザーフェイスの殺人ショーが始まるのだが、この一発目の衝撃はショッキングというほかにない。赤い壁の手前には鉄の扉があり、それがレザーフェイスの怪力で閉ざされた際の金属音が絶望を象徴しているかのようだ。
外にあるブランコに乗って待っていたパムは、なかなか戻ってこないカークを追って家の中に入る。観客はここで「よせ、よせ!」と思わずにいられなくなる。このシーンではブランコの下をカメラが潜り抜け、ローアングルでパムの後ろ姿を追いかけるが、そびえ立つレザーフェイスの屋敷が怪物のようにパムを飲み込むように見えて、恐ろしさを増幅させる。撮影監督ダニエル・パールのアイデアによる、みごとなドリーショット。

『悪魔のいけにえ 4Kデジタルリマスター 公開50周年記念版』©MCMLXXIV BY VORTEX,INC.
この後は地獄絵図のような展開となるのだが、中でも注目したいのは、パムが転がり込んだとある一室。吊るされた鳥かご内の鶏が鳴き続けているそこには動物や人間の白骨が散乱し、中には前衛アート作品のようにグロテスクに組み立てられたものもある。とにかく、恐怖しか感じられないような空間だ。美術担当のロバート・A・バーンズは毎朝、近隣の牧場を訪ね歩いては使えそうな動物の骨を採取し、これを作り出したとのこと。