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『ゴースト・ドッグ』ヒップホップにマーシャルアーツ、多様な文化が交差したジャームッシュ映画

(c)Photofest / Getty Images

『ゴースト・ドッグ』ヒップホップにマーシャルアーツ、多様な文化が交差したジャームッシュ映画

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意外なニューヨークのサブカル



 ところで本作でもう1つ面白いのが、鳩の存在だ。この頃は既に携帯が一般的に普及していたにも関わらず、ゴースト・ドッグとの連絡は鳩に頼られている。またそうすることで、思わぬ笑いも生まれた。イタリアン・マフィアが鳩を追いかけている姿は非常に滑稽だ。


 屋上で、ゴースト・ドッグが鳩と生活しているのを見て思い出すのが、マイク・タイソンだ。ニューヨーク出身のマイク・タイソンも屋上で鳩を飼っていたことは有名だ。そして名作ファンならば、『波止場』(54)でマーロン・ブランドが演じた主人公も思い出すだろう。


『波止場』予告


 ニューヨークのサブカルチャーには、屋上で鳩を飼うというものがある。人種に関わらず、さまざまな人々が鳩を飼うことを楽しんでいるのだ。そんな様子が、『Above Brooklyn』(09/日本未公開)というドキュメンタリーになって紹介されている。


 ジャームッシュは、本作が色々な文化が交わる「クロス・カルチャー」になることを望んでいた。『ゴースト・ドッグ』は、ニューヨークの黒人やヒスパニックが70年代に始めたヒップホップと、何百年もの歴史がある日本のサムライが見事に交わった作品となり、それが今となっては当たり前のこととなった、最初の作品なのだ。



文:杏レラト<あんずれらと>

雑誌「映画秘宝」(洋泉社)を中心に執筆。著書『ブラックムービー ガイド』(スモール出版)が発売中。



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