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『パンズ・ラビリンス』スペイン内戦を背景に、ギレルモ・デル・トロが描く魅惑の物語

(c)Photofest / Getty Images

『パンズ・ラビリンス』スペイン内戦を背景に、ギレルモ・デル・トロが描く魅惑の物語

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『パンズ・ラビリンス』あらすじ

1944年のスペイン内戦で仕立て屋の父親を亡くした少女オフェリア。彼女は母親とともに、独裁主義の恐ろしい大尉に引き取られ、森の中にある軍の砦に移り住む。オフェリアはこの恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。


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全編スペイン語で描く、異才の代表作



 第92回アカデミー賞で作品賞ほか最多4部門を獲得した『パラサイト 半地下の家族』(19)。アカデミー賞の歴史の中で、非英語作品の作品賞受賞は、史上初のことである。この達成は韓国の映画業界には勿論のこと、日本を含めたアジア全般にも大きな希望を与える、快挙といえる出来事となった。


 『パラサイト 半地下の家族』の作品賞受賞は、アカデミー賞の歴史を塗り替える、大事件といっても過言ではない。とはいえ、アカデミー賞の長い歴史の中を紐解くと、非英語圏の作品は、過去にもいくつか評価されていることがうかがえる(非英語作品の作品賞受賞という意味では『パラサイト 半地下の家族』が初のことではあるが)。


『パラサイト 半地下の家族』予告


 例えば、第79回アカデミー賞で撮影賞、美術賞、メイクアップ賞の3部門を獲得(ほか脚本賞、作曲賞、外国語映画賞でもノミネート)した『パンズ・ラビリンス』(06)は、映画ファンの間では色濃く記憶されている。本作の製作にはアメリカ資本の介入こそあるものの、作品全編はスペイン語で収録されており、非英語作品ながらも全米でクリーンヒットを記録した。字幕を読まないアメリカ国民が、こぞって字幕で鑑賞したのだ(『パラサイト 半地下の家族』も同様に、欧米では敬遠されがちな字幕上映にこぞって観客が押し寄せた)。


 『パンズ・ラビリンス』でメガホンを執ったのは、メキシコ出身の映画作家ギレルモ・デル・トロである。『ROMA/ローマ』(18)のアルフォンソ・キュアロン、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥと並び、メキシコ出身の映画作家として高く評価されるギレルモ・デル・トロ。


 彼は『ミミック』(97)や『デビルズ・バックボーン』(01)などで見られるような、奇妙で鮮烈なイマジネーションを持ち合わせる、異才の映画人として知られている。


『シェイプ・オブ・ウォーター』予告


 近年では、人間と半魚人との恋を描いた異色作『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)で、ついにアカデミー賞作品賞を獲得し、名実ともに最高の映画監督として認められている。彼の代表作のひとつとして数えられる『パンズ・ラビリンス』は、そんな監督を形作った記念碑的名作として、いまなお語られる機会が多い。



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