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『ブレードランナー』はフィルム・ノワールの夢を見るか?

『ブレードランナー』はフィルム・ノワールの夢を見るか?

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SF的アプローチの“フィルム・ノワール”



 1982年に公開された『ブレードランナー』の10周年を記念して、再編集された『ディレクターズカット/ブレードランナー 最終版』(92)が公開された時、話題となったことがいくつかある。ひとつは、「デッカードがレプリカントであるか否か?」という議論に対するリドリー・スコット監督の解釈を、“ユニコーン”の映像を加え、また、レプリカントであるレイチェルとの逃避行場面を削除することによって示唆した点。


 もうひとつは、デッカードによる“モノローグ”が本編から全て無くなった点。“モノローグ”とは、登場人物が心の中で思っていることを独りで話すこと、つまり、登場人物の心理状態や情景などを説明する“ナレーション”とは異なる点が重要なのだ。


  “フィルム・ノワール”の特徴には、前述したコントラストを際立たせた黒を基調にした映像のほか、“ファム・ファタール”=“運命の女”と呼ばれる悪女の存在、犯罪者や腐敗した警察官など反社会的な男性が主人公、そして、“ヴォイス・オーヴァー”の多用、という演出上の特徴が挙げられる。この“ヴォイス・オーヴァー”とは一人称のナレーションのことで、“モノローグ”とほぼ同義。




 例えば、ハンフリー・ボガートが主役を演じた『マルタの鷹』の私立探偵サム・スペードや、『三つ数えろ』の私立探偵フィリップ・マーロウは、主人公“モノローグ”によって物語の顛末が語られてゆく。そう、『ブレードランナー』でデッカードの“モノローグ”が重要であるのは、“フィルム・ノワール”の影響下にあることの裏付けのひとつになっているからだ。


 デッカードは、まるで1950年代の映画で描かれた探偵のようにロングコートを着ている。そして、行方不明になったレプリカントたちを捜索し、その過程でレイチェルという“運命の女”と出会う。さらに、リドリー・スコット監督作品の特徴とも言える陰影を強調した映像は、カラー映画であるにも関わらず、黒を基調にしたコントラストが際立っているという点でも“フィルム・ノワール”的なのである。



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