2020.04.20
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脚本の妙と独創性が融合した隠れた名作
アクション映画に最も重要なのは、派手な爆発やカーチェイス、銃撃戦ではない。「脚本」だ。そんな当たり前な真理の実例を示すのに最も分かりやすい1本が『エグゼクティブ・デシジョン』(96)だろう。
しかし本作は内容の充実度に比して、その評価は不当に低い。1996年公開時にはマイケル・ベイ監督のド派手なアクション大作『ザ・ロック』(96)が話題となっており、その陰に霞んでしまった感もあった。
アメリカの映画批評サイト、「ロッテントマト」では満足度64%で批評家からの評価もあまり高くない。しかし、同サイトには「批評家の合意」としてこんなコメントも掲げられている。「本作は、クラシックなアクションスリラーの型をたっぷりと取り入れており、ジャンルに囚われず、独創性を確実に発揮している。それは評価ポイントを獲得する必要がないことの証明だ」
『エグゼクティブ・デシジョン』(c)1996 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
「クラシックなアクションスリラー」とは何だろう。それは先述した「脚本」で描き出すサスペンスと心理描写の妙だ。そして脚本の妙と「独創性」が融合したことで、製作から四半世紀が経とうとする今見ても、『エグゼクティブ・デシジョン』の面白さは色褪せていない。