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『映像研には手を出すな!』マンガの「個性」とアニメの「技巧」が融合した、げに面白き“最強の世界”

『映像研には手を出すな!』マンガの「個性」とアニメの「技巧」が融合した、げに面白き“最強の世界”


「アニメを完成させる過程を描く」という挑戦



 人気マンガ『鬼滅の刃』がアニメ化した際に、その流麗な動きが爆発的な人気を獲得したように、現代アニメにおいては「作画」は重要な判断基準だ。多くのアニメファンが、作品を観る際に注目するポイントといえる。


 しかし、『映像研には手を出すな!』は、この「作画」の要素が極めて特異だ。というのも、本作は「アニメを作るアニメ」であるから。


 大きく分けて、①「浅草たちが生きる日常」②「浅草や水崎の空想世界」③「劇中で作られるアニメの世界」の3つで構成されており、②③においてはラフやスケッチ、コンテに原画といった表現が混ざっている(カメラの動線や効果の指示も書かれており、細部に至るまで製作陣のこだわりが光る)。劇中のキャラクターによる「完成途中」の作画が、要所要所に入り込んでくるということだ。




 原作では白背景だった部分も、きっちりと描き込まれているほか、オリジナルの要素も細かく付け加えられている。さらに、浅草や水崎が鉛筆やペンタブレットを使って「絵を描く」表現もあり、非常に難易度が高いミッションをこなしているといえるだろう。


 SE(サウンドエフェクト)が入っていないものと完成形を見比べるエピソードや、音楽を替えることで印象がどのように変わるか比較するシーンもあり、作品自体に「制作過程」の要素を持ち込むことで、複数のレイヤーで楽しめるような視覚的な仕掛けが施されている。つまり、『映像研には手を出すな!』は、画面の「完成度」を重視する、表面的な作画の「良し悪し」では判断できない領域にまで到達しているということだ。


 未完成の状態を意図的に作り、開示するということ。一種メタ的な要素のようにも思えるが、実際は2本分アニメを作っているのに近い状態だろう。ただでさえ、①と②、③という3つの層があるだけで複雑さを極めており、それら全てで描き方を変えているのだから、本作における情報量と作業量は想像するだに恐ろしい。つくづく、よくこれだけの大作を実現させたものだ。湯浅監督と、アニメーション制作を手掛けたサイエンスSARUのクリエイターたちの苦心には、頭が下がる。




 全12話で構成されたアニメ『映像研には手を出すな!』は、どのエピソードを切り取っても監督やアニメーターたちの意匠が感じられて身震いするが、同時に痛いほどに伝わってくるのは、劇中のキャラクターにも重なる作り手の「熱意」だ。続く最後の項目では、本作ににじむ「クリエイターの生きざま」について紹介していきたい。



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