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『プラトーン』ベトナムでの「自分」を再現することで生まれた戦争映画の傑作 ※注!ネタバレ含みます。

(C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

『プラトーン』ベトナムでの「自分」を再現することで生まれた戦争映画の傑作 ※注!ネタバレ含みます。

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ベトナムの兵士を「再現」する特別キャンプ



 ストーンは出演する俳優たちに「兵士を演じる」のではく、ベトナムの戦場で戦う「兵士になる」ことを要求した。『プラトーン』はフィクションではなく、ストーン自身が味わった現実の物語だからだ。そのために雇われたのがテクニカル・アドバイザーのデール・ダイだった(ダイは指揮官役で劇中にも登場する)。


 ダイは3年間ベトナム戦争に従軍した元海兵隊大尉で、軍隊のことを知り尽くしていた。彼はストーンからの要請を受け、主人公のクリスを演じるチャーリー・シーンたちを本物の「兵士」にするため、特別キャンプを行った。


 出演者は撮影に入る直前、ロケ地であるフィリピンのジャングルにある警察用訓練基地に連れて行かれた。ここで2週間、役者たちは映画の中のプラトーン(小隊)さながらに寝食を共にした。寝る場所は2人用のタコツボと呼ばれる穴。トレイやシャワーもなく食料は1日2箱の冷えた軍用食。夜間は待ち伏せの訓練を行い、銃器や地雷の操作方法を学び、装備一式を携えてパトロールも行った。運が良ければ夜に4、5時間眠れたという。



『プラトーン』(C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. 


 クリスの上官バーンズを演じたトム・べレンジャーは、その様子をこう振り返る。「あのトレーニングは戦争とはどれほど凄まじいものなのかを、俺に感じさせてくれた。…トレーニングがおわったあと、俺たちは全員、目はウツロで気むずかしく、手はマメだらけになっていた」


 彼らは2週間に及んだ地獄のキャンプを終えると、休む間もなく直接ロケ地に向かわされた。監督のストーンはヨレヨレの役者たちを見て満足そうに笑ったという。彼がその時目にしたのはベトナムにいた頃の自分自身だったのだ。「チャーリーをとおして、私は若いときの自分を見た」。そう製作ノートにも記している。


 しかし、ストーンはなぜここまで徹底してベトナム戦争時の自分を再現し、その物語を語らねばならなかったのだろう。それはベトナムに従軍した理由と、そこで体験した現実を知ればおのずと明らかだ。



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