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『天使にラブ・ソングを…』エネルギッシュ&多幸感あふれる名作で、実現しなかった幻のキャスティングとは?

(c)Photofest / Getty Images

『天使にラブ・ソングを…』エネルギッシュ&多幸感あふれる名作で、実現しなかった幻のキャスティングとは?

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脚本家が変名でクレジットされた経緯



 だが、本作に関しては、最初の発案者もラドニックだし、最も長く脚本執筆に時間と情熱を注いだのもラドニックだ。それゆえ、エンド・クレジットを載せる段階では、制作陣から「ぜひ君の名前を」と言われたそうだ。


 当のラドニックは「もはや自分の手を離れてしまった」と完成版を見る気も起こらなかったようだが、それでも相手に説得され、変名で載せることに合意したそうだ。それゆえ本作の脚本家名には、何の思い入れも香ばしさもない「ジョセフ・ハワード」という名前が無味乾燥に刻まれている。


 その後、ラドニックは小説、エッセイ、戯曲、脚本と幅広く執筆を手掛け、代表作には『アダムス・ファミリー2』(93)、『ステップフォード・ワイフ』(04)、『イン&アウト』(97)などがある。


 一方、彼がたった一度だけ名乗った変名「ジョセフ・ハワード」は、その後も本人とはパラレルなところで大活躍を続けた。


『天使にラブ・ソングを…2』予告


 当然ながら執筆には一切関わっていない『天使にラブ・ソングを…2』(93)でもクレジットされ、また2011年にブロードウェイ・ミュージカル化された折にも、原案者としてクレジット入り。その度に確固たるギャラが支払われたであろうことを考えれば、ラドニックも喜んでいいやら悲しんでいいやら、実に複雑な心境だったことだろう。



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