2019.06.14
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』あらすじ
大学でアルバイト清掃員として働く孤児の青年ウィル・ハンティングは、幼い頃から天才ゆえに周囲から孤立していた。彼の才能に気付いた数学教授のジェラルド・ランボーは、ウィルに精神分析医のショーン・マグワイアを紹介する。ウィルはショーンにしだいに心を許していくがーー。
Index
- ロビン・ウィリアムズをしのぶ新作『ドント・ウォーリー』
- ロビン・ウィリアムズが映画に出演した理由
- 無名時代のマット・デイモンとベン・アフレックが書いたシナリオ
- オスカー受賞で、ハリウッドを背負う存在に
- ガス・ヴァン・サント監督が抜擢した才人、エリオット・スミスの音楽
ロビン・ウィリアムズをしのぶ新作『ドント・ウォーリー』
1本の映画は生まれる時、ひどく時間がかかることがある。日本では2019年5月に上映されて話題を呼んだガス・ヴァン・サント監督の新作『ドント・ウォーリー』は、なんと20年という難産の末に完成した。それというのも、主役に予定されていた男優が亡くなってしまったからだ。
「この映画の企画を僕のところにもってきたのはロビン・ウィリアムズだった。自分が気になる本があると、時々、僕のところに持ってきた。そのうちの1冊がジョン・キャラハンの自伝的なエッセイ集なんだよ」
2019年2月、宣伝のために来日したヴァン・サント監督はそんな話をしてくれた。そう、この映画はロビン・ウィリアムズの主演作として考えられていたのだ。ふたりは97年の『グッド・ウィル・ハンティング』で組み、その後、新作の企画について話をするようになったという。『ドント・ウォーリー』では飲酒癖があった自堕落な男が、交通事故で半身不随となるが、やがては風刺漫画を描くことに目覚めていくという物語が展開する。
『ドント・ウォーリー』予告
ジョン・キャラハンは実在の人気漫画家で、ヴァン・サントも彼の漫画に興味があったようだ。90年代にラフの脚本を書いたこともあったが、うまくいかず企画は棚上げになっていた。
そして、2014年にロビンは他界したが、その後、『誘う女』(95)で監督と組んだこともあるホアキン・フェニックスがキャラハン役を引き受けた。この映画を見ていると、ロビンと顔が似ていないはずのホアキンの姿が、なぜか、ロビンと重なって見える。企画から20年という時を経て、遂に完成したことをきっと天国にいるロビンも喜んでいるだろう。
そして、この新作を見ると、同監督による『グッド・ウィル・ハンティング』のロビンと会いたくなる。この作品では、マット・デイモン扮する主人公ウィルに、再生のチャンスを与える分析医、ショーン役を演じてオスカーの助演男優賞も獲得していたからだ。生前、何度もオスカー候補となっていた彼は、本来なら助演ではなく主演賞を取る人に思えたが、この映画が完成した直後、アメリカのテレビ番組に出演した時はこんなコメントも残している。
「助演という立場で出演するのも、私にはとても楽しい。アンサンブルのおもしろさが体験できるからね。そして、いつも同じような役ではなく、いろいろと立場をかえて、違うキャラクターをやっていきたい」
ショーン役はロビンの“最も愛されたキャラクター”のひとつとなっているが、監督によればこの役の第一候補は実は別の男優だったという。