2020.06.05
※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。
『ユージュアル・サスペクツ』あらすじ
五人の前科者は、正体不明の伝説の男、カイザー・ソゼを首謀者として企てられた緻密な銃器強奪計画に巻き込まれる。男たちは渋々と作戦に乗り出し任務を遂行するが、その計画はパーフェクトかつ確かなものなのか、それとも……。
Index
- 映画とは無縁の行き当たりばったり人生
- 『パブリック・アクセス』の成功、そして『ユージュアル・サスペクツ』へ
- 始まりは5人の容疑者が一列に並ぶイメージから
- 観客を巧みにミスリードする、クリストファー・マッカリー作劇術
- 明暗分かれたマッカリーとシンガーの映画人生
映画とは無縁の行き当たりばったり人生
『ワルキューレ』(08)の脚本を手がけて以降、トム・クルーズから絶大なる信頼をゲット。今や完全にトムのお抱え作家となったのが、クリストファー・マッカリーだ。
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)(クレジットなし)、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(17)、『トップガン マーヴェリック』(20)の脚本を務め、『アウトロー』(12)、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(18)では監督も兼務。次回作には、『ミッション:インポッシブル』7作目&8作目が控えている。
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』予告
だが、彼の映画人生は決して順風満帆ではなかった。というよりも、そもそも映画に関わる仕事を全くしていなかった。子供の頃からストーリーを考えることが大好きで、漠然と映画関係の仕事をしてみたいと思っていたが、地元の高校卒業後は大学には進まず、かといって映画学校に通う訳でもなく、なぜかオーストラリアに渡航。クライスト・チャーチ・グラマースクールという、寄宿学校のアシスタントとして働き始めるのだ。
そもそもこの仕事に興味がなかったからか、たった9ヶ月でクビになってしまい、3ヶ月のヒッチハイク生活を経て帰国。今度は探偵事務所で働き始め、4年間で6件の調査に関わったという。
その探偵事務所も辞めて、ニューヨーク市警察にでも入ろうか…と思っていた矢先に、マッカリーはある男から声をかけられる。後に『X-メン』(00)や『ボヘミアン・ラプソディ』(18)を手がけることになる、映画監督のブライアン・シンガーだ。