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『神経衰弱ぎりぎりの女たち』ハイヒールとタイトスカートで世界に挑む!鬼才アルモドバルの快作、その魅力に迫る

『神経衰弱ぎりぎりの女たち』ハイヒールとタイトスカートで世界に挑む!鬼才アルモドバルの快作、その魅力に迫る


ハリウッドに背を向けて、世界にはばたく



 ともかく、本作で注目されるべきはタイトル通り、神経衰弱ぎりぎりの女たちだ。男に振り回されたあげく、精神的に追い詰められ、そこから突き抜けるヒロインたちの成長こそがドラマの肝。決して動きやすいとはいえないハイヒールとタイトスカートで走りまわる女性たちの生命力は、#MeToo運動以後の現代にも訴えるものがある。「ペパのような女性にとってハイヒールは不安を持ちこたえるための最高の道具。脱いでしまったら、たちまち踏ん張りがきかなくなる」とは、カルメン・マウラの弁だ。


 本作はまず1988年のヴェネチア国際映画祭で脚本賞を受賞したことで世界の注目を集めることになった。そして米アカデミー賞では外国語映画賞にノミネートされ、アルモドバルはハリウッドでも注目の存在となった。この時期、ハリウッドに飛んだ彼は、当時隠居生活をおくっていた『アパートの鍵貸します』(60)などで知られるコメディの名匠ビリー・ワイルダーとの面会がかない、“今度のアカデミー賞では君の作品に投票する”と言われたとのこと。



 残念ながら、このときは受賞を果たせなかったが、『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)でリベンジを果たし、さらに『トーク・トゥ・ハー』(02)で脚本賞を受賞するなど、非英語圏の監督としては異例の高評価を受け続けている。ちなみに、ワイルダーがアルモドバルにあたえた唯一のアドバイスは「ハリウッドで映画を撮るという誘惑に、絶対に負けてはいけない」ということだった。


 本作によって、日本でもアルモドバルは人気に火が付き、『バチ当たり修道院の最期』(83)『欲望の法則』(87)などの過去の監督作が立て続けに公開され、そのエキセントリックな個性を広く知らしめることになった。


 愛とセックス、抑制と欲望、タブーと狂気、社会性と変態性、そしてユーモアと感動。アルモドバルの映画には、それらがオモチャ箱の中の混乱のように散りばめられている。彼の作品をまだ見たことがない方には、とてつもなく弾けている本作を、まず見ることをお勧めしたい。



文: 相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



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(c)Photofest / Getty Images

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