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『KIDS』伝説の写真家ラリー・クラークが切り取った、アメリカン・ユースカルチャーの光と影

『KIDS』伝説の写真家ラリー・クラークが切り取った、アメリカン・ユースカルチャーの光と影


ガス・ヴァン・サントの存在



 しかし最も話題になったことは、「ラリー・クラーク×スケーターカルチャー」の組み合わせの持つインパクトと、ラリー・クラークの真摯でクリエイティブな姿勢だ。


 ラリー・クラークは、自身が経験できなかったユース・カルチャーへの憧れや衝動、嗅覚に優れているのだろう。80年代後半に入り、すでに40代になっていた彼は、ニューヨークに出向き、全くの初心者ながら何とスケートボードを始めたのだ。ワシントンパークに集まるローティーンの中に入り一緒に滑る日々。もちろん最初はいわゆる「変なおじさん」状態だったらしい。当たり前だ。しかもなかなか上手にならなかったというのもリアルだ。




 ひたすらスケボーに明け暮れる日々、彼は写真集ではなく映画の構想を練り始める。スケーターを主人公に見たことのない映画を作る。「今ここにいる彼らを役者にして、脚本は・・・プロの脚本家じゃない、無理だ、いっそ、この中の誰かだ。」


 目の前にいるのはただのガキンチョたち。しかも貧困層で普通の教育を受けていない子の方が多い。しかし、彼のあまりに純粋な創作衝動は映画の神様を連れてきてしまう。目の前のスケーターの中に映画マニアがいたのだ。


 名前はハーモニー・コリン。高校を卒業したばかり。ラリー・クラークからあらすじを聞いた彼は、一気に脚本を書き上げた。その時すでに、映画完成版とほぼ変わらぬ状態だったというから驚きだ。また、ドキュメンタリーではなく、大人達を挑発するポップなフィクションにすることを、二人はその段階で決めていたという。


 ある日、ハーモニー・コリンがラリー・クラークのアパートに遊びに行くと、そこにいたのはガス・ヴァン・サントだった。ガス・ヴァン・サントは『ドラッグストア・カウボーイ』(89)を撮るときに、写真集「タルサ」を参考にしたほどのラリー・クラークの信奉者。ハーモニー・コリンも『ドラッグストア・カウボーイ』や『マイ・プライベート・アイダホ』(91)のファンだったこともあり、3人は意気投合。


 ガス・ヴァン・サントが、自身の作品で多く組んでいる撮影監督エリック・エドワーズと、プロデューサーのケイリー・ウッズを紹介し、本格的に映画化がスタートした。なお、ガス・ヴァン・サントは制作総指揮としてクレジットされている。



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