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『オペラ座の怪人』マイケル・ジャクソン出演の可能性もあった⁉︎映画化に徹底的にこだわったミュージカル界の伝説

(c)Photofest / Getty Images

『オペラ座の怪人』マイケル・ジャクソン出演の可能性もあった⁉︎映画化に徹底的にこだわったミュージカル界の伝説

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16歳の純粋な少女となったヒロイン役



 ミュージカル映画の場合、重要なのはキャスティングである。往々にして、歌とダンスの技術を優先すると、世界的にネームヴァリューのある映画スターから候補を探すのは至難の業。かと言って舞台のオリジナルキャストを起用すると、演じた役よりも年齢が高い場合が多いので、リアルさを求める映画にそぐわない。『オペラ座の怪人』も当初の構想どおり、クロフォードとブライトマンで映画化したら、そのリスクを伴ったはずだ。


 シュマッカーは、全体にキャラクターを若い年齢に設定しようと考えたが、ロイド=ウェバーが出したのは「歌の吹き替えはNG」という条件だった。その条件から、ヒロインのクリスティーヌ役にまず候補に上がったのが、すでに天才少女歌手として人気を得ていた、当時17歳のシャルロット・チャーチ、そして20歳だったアン・ハサウェイ。ハサウェイは2002年にブロードウェイのミュージカルに出演していたので経験も問題なし。しかし『プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング』(04)の撮影と重なることが判明した彼女は、出演を断念。


 続いて候補に上がったのが、まだ大スターというわけではない、16歳のエミー・ロッサムだった。7歳の時からNYの名門、メトロポリタン・オペラでトレーニングを受けていたというロッサムに、オーディションで会ったシュマッカーも「雷に打たれたような気分」と、起用が決まった。これは偶然だが、映画版のクリスティーヌ役は16歳という設定となっている(舞台は1870年という設定で、あるシーンでクリスティーヌが1854年生まれと示されている)。



『オペラ座の怪人』(C) The Scion Films Phantom Production Partnership


 ロイド=ウェバーも「舞台で16歳の少女が、週8回の公演を行うことはノドが持たないので無理。設定、キャスティングとも、映画として完璧な結果となった」と、クリスティーヌ役、およびエミー・ロッサムの「16歳」という点が、作品の求める純粋さに貢献したことを評価している。


 一方で、かなり難航したのがファントム役だ。その候補には、ヒュー・ジャックマン、アントニオ・バンデラス、ケヴィン・スペイシー、ジョン・トラボルタ、ミートローフ、マシュー・マコノヒー、さらにヒース・レジャーという名前が上がっていた。


 このうちバンデラスは、すでに『エビータ』(96)でロイド=ウェバー作品を経験していることから、本人もかなりやる気だったという。実際に1998年のロイド=ウェバーのコンサートで、彼はファントムの曲を披露していたりするのだ。しかしロイド=ウェバーは「16歳の少女の恋の相手には、ちょっと無理がある」と却下。たしかに当時、アントニオ・バンデラスはすでに40代だった。


 また、あのマイケル・ジャクソンも舞台版を観て「映画が作られるならファントムを演じたい」とロイド=ウェバーに申し出たという。しかしそれは映画化の話も出ていない、上演が始まってすぐの時期だったので、マイケルの話は立ち消えてしまった。



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