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『オペラ座の怪人』マイケル・ジャクソン出演の可能性もあった⁉︎映画化に徹底的にこだわったミュージカル界の伝説

(c)Photofest / Getty Images

『オペラ座の怪人』マイケル・ジャクソン出演の可能性もあった⁉︎映画化に徹底的にこだわったミュージカル界の伝説

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当初は「馬鹿らしい」話と巨匠の心は動かず…



 もちろん映画ならではの豪華な演出もあり、この作品の「主役」と言ってもいい存在感を示すシャンデリアは、舞台版と映画版で、その重要な役割を果たす見せ場が変更されている。


 撮影のために、パリの有名なシャンデリア・メーカー、ティースランが4ヶ月かけて製作。スタジオでの組み立てだけでも丸4日が費やされた。スワロフスキーのクリスタルが使われたそのシャンデリアは、重量が2.3トン、価格が日本円で1億以上だったと言われている。このように美術や衣装のゴージャスさは、舞台版の比ではない。


 ちなみに衣装デザインも手がけるジョエル・シュマッカー監督は、この作品でもクリスティーヌのドレスを担当。ロイド=ウェバーを「『ロストボーイ』の少女のようになった」と満足させている。


 ブロードウェイでのロングラン記録を作るなど、ミュージカルの歴史に燦然と輝く『オペラ座の怪人』は、舞台版を観た世界中のファンに対して、オリジナルに忠実であることで満足させつつ、細部で映画らしい工夫を施すことで、舞台版を観ていない層も魅了。ミュージカル映画化の成功作のひとつとなった。


『オペラ座の怪人』特別映像


 原作はガストン・ルルーの小説で、ホラーとしては何度も映画化されてきた『オペラ座の怪人』。ここまでロマンチックなミュージカルに仕立てたアンドリュー・ロイド=ウェバーの才気には感服するしかないが、最後に彼がこの作品に着手したきっかけを記しておこう。


 「『オペラ座の怪人』のミュージカル作品はすでに存在し、当時の妻のサラ(・ブライトマン)に出演の打診があったので脚本を読んだところ、ブリティッシュ・ジョークにあふれた馬鹿げた話だった。サラはその打診を断り、私はその舞台をロンドンで観たのだが、やはり、ファントムとか、仮面とか、アホらしい世界としか思えなかった。これは『ロッキー・ホラー・ショー』の監督がやるような世界だ、ってね。それから1年くらい後、ニューヨークの本屋でたまたま手に取ったのが、ガストン・ルルーの原作で、読んでみたところ、ここまで物語に愛が深く絡んでくるのかと、私は混乱してしまった。ファントムの肉体が焼かれ、その指にクリスティーヌの指輪がはまっていたと知り、このラブストーリーを膨らませたいと考えたんだ。その晩、ハロルド・プリンスと食事をして『君が曲を書くなら、僕が演出する』と言われ、私はその気になったんだよ」




文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。 



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作品情報を見る





『オペラ座の怪人』

Blu-ray: 1,886 円+税/DVD: 1,429 円+税

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

(C) The Scion Films Phantom Production Partnership

※ 2020年8月の情報です。


(c)Photofest / Getty Images

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