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『きっと、またあえる』負け犬たちの奮闘と勝者の苦悶を描いた、大落涙作品

『きっと、またあえる』負け犬たちの奮闘と勝者の苦悶を描いた、大落涙作品

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チーム対抗多種目競技映画として



 インド映画の中で何本かの作品に「学生のチーム対抗多種目競技」が登場する。そのうち1本は日本でも公開された『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』(12)だ。


 “キング・オブ・ボリウッド”の異名を持つ大スター、シャー・ルク・カーンがプロデュースを、『家族の四季 愛すれど遠く離れて』(01)の名匠カラン・ジョーハルが監督を務めた、インド国内で大ヒットを記録した作品である。おそらくこの『きっと、またあえる』での「チーム対抗多種目競技」アイデアの直接的な源泉であろう。


 そして、それらの始祖と言える作品が存在する。1984年にアメリカで公開されるとカルト的な人気を得て、今でも何かと引き合いに出され80年代のポップ・カルチャー・アイコンの一つになった傑作『ナーズの復讐/集結!恐怖のオチコボレ軍団』(84:以下『ナーズの復讐』)だ。



 「ナーズ」とは、スクール・カーストでは下の方で、日本語で一番近いのは非常にステレオタイプな「オタク」になるだろう。ファッションや恋愛・人間関係一般に疎く、しかし好きなものには他の追随を許さない固執をするような人々のことだ。


 『ナーズの復讐』ではそんな「ナーズ」たちが大学に入り、いじめっ子の「ジョックス」(こちらは今も昔も解り易く存在する、スポーツしか能の無い人たち)のいじめを跳ね除けていく。という作品である。


 『ナーズの復讐』ではアメリカの大学特有のフラタニティ/ソロリティと呼ばれるグループの対立方法として「チーム対抗多種目競技」が行われるのだが、享楽的な大学生らしい「ビールを飲みながらの三輪車競争」や「ゲップ自慢合戦」といったバカバカしいものになっている。


 「ジョックス」たちから「負け犬」と呼ばれている「ナーズ」たちが、ゲームで勝ち進んでいく様子は、35年後のインド映画『きっと、またあえる』に、その精神が受け継がれたと言えるだろう。



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