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『キングスマン』軽妙洒脱なチャラさを取り戻した、新しいスパイ映画

『キングスマン』軽妙洒脱なチャラさを取り戻した、新しいスパイ映画

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『キングスマン』の女性たち



 秘密兵器に楽しいアクション、魅力的な悪役を揃え、かつてのムーア:ボンドへの目配せを詰め込みつつも単なるパロディやパスティーシュに留めず、本歌取りした愛すべき娯楽作へ昇華させている要因の一つに、女性たちの立ち位置があるだろう。


 キングスマン新人選考会参加者の中でも数少ない女性ロキシーは、他の参加者同様に上流階級出身だが階級の無いエグジーに気を使い、時に味方し、試験でのHALOジャンプでもエグジーに最後まで寄り添う。ボンドなら気があるんだろうと即ベッドへ誘い一夜を共にしたに違いない。しかし、最後の最後まで恋愛関係には発展させず、エグジーとの立ち位置は対等のままだ。




 前出のガゼルは男のエージェント相手に一歩も引かず、むしろ何人もまとめて殺すほどの強さを見せる。しかし、強いのは殺人術だけでは無い。ヴァレンタインの執事のような役割もこなすのだが、いつでも殺せる自信がある故か、生体認証に弱音を吐くヴァレンタインに「自分で決めたんでしょ?」と、バカにする様子さえ見せる。


 そして、極め付けはスウェーデンの王室から誘拐されたティルデ王女だ。あっさり寝返った首相を罵り、最後まで抵抗を続ける。そしてヴァレンタインの凶行を止めに来たエグジーにこう言うのだ。「もし、世界を救うことが出来たら“後ろから”楽しませてあげる。」(原文はもっと直接的で「If you save the world, we can do it in the asshole.」)


 この場面は007映画の恒例で、敵の要塞を破壊した後で女性としけこむボンドへの目配せなのだが、ボンドの場合は女性を「救ってあげ」て、ボンドの主体的な行動としてしけこむ。対して『キングスメン』では、しけこむ主体は女性:ティルデ王女側にあり、しかも“プレイ”はボンドよりも過激である。


 マチズモに浸り続ける007シリーズに対する解答として、『キングスマン』はスパイにチャラさを取り戻し、女性と供に時代と呼応し続けているのだ。



文: 侍功夫

本業デザイナー、兼業映画ライター。日本でのインド映画高揚に尽力中。



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『キングスマン』

ブルーレイ発売中 ¥1,800+税

(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

(c) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation and TSG Entertainment Finance LLC. All rights reserved.

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