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『グレムリン』新鋭監督ジョー・ダンテが譲らなかった「ざわつくクリスマス」

『グレムリン』新鋭監督ジョー・ダンテが譲らなかった「ざわつくクリスマス」


スタジオ側からの緊急要請「グレムリンを減らせ!」



 それはダンテにとっては夢のような映画製作の環境だった。だが、スタジオ側は「金は出すが、口も出す」というスタンスだ。これは「金はないが、心は自由」の精神でやりくりしてきたダンテにとってはむしろやりにくい環境だったかもしれない。その上、会社側は『グレムリン』が一体どういうテイストの作品なのかというビジョンすら共有できておらず、最初の試写でようやく「なるほど!コメディとホラーをミックスさせた映画ってわけか!」と理解するような状態だったとか。


 その点、ジョー・ダンテにはスピルバーグがいた。困った時の相談役であり、トラブル発生時の交渉役にもなってくれたスピルバーグ。彼へのゴマスリなのか、それとも感謝の意なのかは定かではないが、冒頭、雪景色の中にふと映し出される映画館には「A Boy’s Life」と「Watch the Skies」と二本立てのタイトルが見て取れる。これは『E.T.』と『未知との遭遇』の制作時の仮タイトル。これを目にした時のスピルバーグのニヤリとした表情が目に浮かぶようだ。また、本編中にスピルバーグが一瞬だけ、出演を果たしているのも有名な話だ(発明品の見本市で電話をかけるシーン)。


 スタジオとのバトルという意味で、二つの典型的な事件を挙げておこう。まず一つ目。ある時、ラフカットを観た経営陣から「グレムリンの数が多すぎる。減らしたらどうか?」という要望が突きつけられた。確かに、中盤以降、その数は増殖しすぎて手がつけられなくなる。でも、このやりすぎ感こそ本作の醍醐味。おびただしい数のグレムリンが酒場で飲んだくれ、映画館で「ハイホー!」と大合唱するところが、人間社会のパロディのようでたまらなく楽しいのだ。それをちっとも解さないクレームに対して、この時ばかりはスピルバーグも怒って「じゃあ、グレムリンの登場シーンを全部カットして、タイトルを“Gremlins”じゃなくて“People”にしてやろうか!」と反論したのだとか。結局、スタジオ側は要求を取り下げ、グレムリンが減らされることはなかった。




削除命令の出た、たった55秒のセリフ



 そしてもう一つのバトル。それが今や伝説として語り継がれる「ケイトの告白」事件である。問題となったのは、ヒロインが「クリスマスの嫌いな理由」を明かす、たった55秒のセリフ。ショッキングな顛末を言葉だけで表現するそのインパクトたるや凄まじいものがあった。撮影時から嫌な予感は充満していたというが、予想通りスタジオ側はダンテに対し「これじゃ悲劇なのか、喜劇なのか分からない。カットしろ!」と要請してきたという。


 だが、なんとか死守したかったダンテは、この要請を頑なに阻んだ。スタジオの依頼を受けスピルバーグも何度か説得を行ったが、けれど最終的には彼もダンテの熱意に負け、「どうしても残したいなら、負けちゃダメだ。これは君の映画なんだから」と励ます側に回ったという。ここでも製作総指揮としてのスピルバーグの存在が、ダンテの志を大いに救ったこととなる。



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