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『グレムリン』新鋭監督ジョー・ダンテが譲らなかった「ざわつくクリスマス」

『グレムリン』新鋭監督ジョー・ダンテが譲らなかった「ざわつくクリスマス」


新鋭監督のもとに飛び込んだビッグ・チャンス



 思えば『グレムリン』のポスターは、本編が内包する様々な要素を見事に象徴していた。差し出されたボックスの中からモグワイの腕だけが見えるそのデザイン。このキャラが善なのか、悪なのかは実際に劇場へ足を運ばないとわからない。そして何よりも目立つように据えられるのは、「STEVEN SPIELBERG PRESENTS」という文字だ。



© Photofest / Getty Images 


 当時、『E.T.』に続く大作として『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』を準備中だったスピルバーグは、この『グレムリン』を自ら手がけることはできず、信頼できるクリエイターに託すべく入念な人選が行われた。ここで候補に挙がった一人には、まだ若きティム・バートンもいたという。当時、彼が手がけた短編作品が業界内で評判になっており、彼の描くダークでコミカルな世界観は『グレムリン』にピッタリとも思われた。しかし、長編未経験の彼に任せるのはリスキーだとの判断がくだり、別の候補者をあたることになったのだ。


 そこでスピルバーグが白羽の矢を立てたのがジョー・ダンテである。B級映画の帝王、ロジャー・コーマンのもとで研鑽を積んできた彼は、スピルバーグの『ジョーズ』をパクった『ピラニア』を手がけ、カルト的な人気を博した強者だ。『ジョーズ』のユニバーサルは製作のコーマンを訴えようとしたらしいが、スピルバーグは意外にもこの本作を面白がり、許してくれたのだとか。この判断のおかげでジョー・ダンテが訴訟問題に巻き込まれることはなかった。が、当のスピルバーグにしてみれば、こうしていつの日かダンテの力を必要とする日が来るのを早くから見越していたのかもしれない。




 その上、スピルバーグはダンテの前作『ハウリング』(狼男をモチーフにした作品)も鑑賞済みで、ホラーの中にコミカルな要素を織りまぜることのできるその才能を高く評価していた。この作品は狼男への変身シーンが非常に衝撃的で、その特殊効果のクオリティは同年に『狼男アメリカン』を監督したジョン・ランディスら最前線のクリエイターにも大きな影響を与えたと言われる。これらのシーンはおそらくスピルバーグの記憶にも深く刻まれ、後に『グレムリン』の監督探しを行う上でも何度となくその脳内で繰り返し反芻されたはずだ。


 その結果、ちょうどジョー・ダンテがスランプに陥っている時に、突如として映画の脚本が送り届けられた。スタジオとスピルバーグの目論見としては、この脚本を低予算で製作し、効率の良いヒット作に仕立てたい思いがあったのだが、しかしいざ準備を進めていくとかなりの予算と特殊技術が必要であることが明らかとなる。これまでロジャー・コーマンのもとで「お金がないことは当たり前」「足りない分はアイディアで賄え」を実践してきたダンテだが、今回の現場ではスピルバーグがスタジオ側と交渉して、必要な予算と日数はきちんと確保した上で、撮影されることとなった。



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