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『スペース カウボーイ』一筋縄ではいかない不良老人たちのアメリカン・ドリーム

(c)Photofest / Getty Images

『スペース カウボーイ』一筋縄ではいかない不良老人たちのアメリカン・ドリーム

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ファーストチョイスだった老スペース・カウボーイたち



 チームのリーダーで、ダイダロス解散後はNASAのエンジニアとして従事してきたフランク。持ち前の操縦技術を活かして、曲芸パイロットとなったホーク。天才物理学者から、ジェトコースター設計者へと転身を果たしたジェリー。そして、田舎でバプテスト派の牧師となったタンク。そんな4人の老スペース・カウボーイを演じるのは、クリント・イーストウッド(公開年当時70歳)をはじめ、トミー・リー・ジョーンズ(54歳 意外と若い!)、ドナルド・サザーランド(65歳)、ジェームズ・ガーナー(72歳)というラブリー・オールドメン。


 「彼らは私のファーストチョイスだった。幸いなことに、4人全員が引き受けてくれたので、最初私が決めた一線から下がる必要がなかった。みんな私の尊敬している連中で、ジェームズ・ガーナーとドナルド・サザーランドとはかつて共演したこともあるし、トミー・リー・ジョーンズは私にとってもいつも羨望の的だった。この手の映画としては、とてもいいアンサンブルになったと思う。」

(クリント・イーストウッドのインタビュー パンフレットより抜粋)



『スペース カウボーイ』(c)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


 もっとも、グランパ俳優たちにとって撮影はかなり過酷だったらしく、ジェームズ・ガーナーは肩を脱臼、ドナルド・サザーランドは膝にヒビが入ったらしい。映画ではライトスタッフならぬライプ(老齢)スタッフと揶揄を受けるシーンがあったが、実際に彼らも老体に鞭を打っていた訳だ。


 そもそもイーストウッド一人が担ってきた役割を、この映画では他のメンバーに分散させて割り当てているように見える。『ファイヤーフォックス』(82)の腕利きパイロットや『目撃』(97)のやり手泥棒などに代表される、「意固地で頑固だが仕事にかけては一流の男」(そもそもダイダロスは“巧みな職人”という意味だ)。『ブロンコ・ビリー』(80)や『センチメンタル・アドベンチャー』(82)で描かれてきた、「夢を追い求め続ける男」。『ザ・シークレット・サービス』(93)や『トゥルー・クライム』(99)など、’90年代に入ってから顕著になってきた「老いと格闘する男」。そして、『マディソン郡の橋』(95)に代表される「女性をゾッコンにさせてモノにするモテ男」。


 あらゆる“イーストウッド的”キャラが、『スペース カウボーイ』には詰まっている。



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