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『スペース カウボーイ』一筋縄ではいかない不良老人たちのアメリカン・ドリーム

(c)Photofest / Getty Images

『スペース カウボーイ』一筋縄ではいかない不良老人たちのアメリカン・ドリーム

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アメリカ映画の秘密を知る最後の男、イーストウッド



 1930年生まれのイーストウッドには、ハリウッド黄金期の映画の記憶がふんだんに詰まっている。インタビューを読めば、レジェンド級フィルムメーカーとの邂逅も次から次に出てきたりもする。


 「例えばハワード・ホークスだ。わたしが最初に会った監督だ!」


 「フランク・キャプラには、カリフォルニアの北にあるモノ・レイクで『荒野のストレンジャー』を撮影していたときに知り合った」


 「(アルフレッド・ヒッチコックに)会ったことは一度しかない。ずっと後になってから、彼がなくなる直前だ」


 「ビリー・ワイルダーが『翼よ! あれが巴里の灯だ』を撮る準備をしていたとき、接触する機会があった」

(『孤高の騎士クリント・イーストウッド』より抜粋)



『スペース カウボーイ』(c)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


 うーむ、出てくる名前がビッグネームすぎて、読んでいるコッチがドキドキしてしまいますね。もはやイーストウッドは、古き良きハリウッドの撮影技術&話術を体得した、老賢人的存在なのである。パンフレットを読んでみると、インタビュアーがこんな疑問を投げかけていた。


 インタビュアー:「主人公フランクだけが衛星の修理法を知っているという設定は、あなただけが1950年代の偉大なアメリカ映画の秘密を知っているというメタファー(暗喩)ではありませんか?」


 イーストウッド:「面白い着眼だね。私自身そのように考えたことはないが、たしかに昔の映画はより大きなスコープで物ごとを見せていた。TVで見せるために、映画を作っていたわけではなく、映画は映画館でだけ見せるものだったからね。それなりのスケールで物ごとを見せていた。」

(クリント・イーストウッドのインタビュー パンフレットより抜粋)


 イーストウッドはかつて、『許されざる者』(92)でアメリカ映画の代名詞ともいうべき西部劇を埋葬してみせた。しかし皮肉にも、アメリカ映画の秘密を知る最後の男としてイーストウッドはハリウッドに今なお屹立している。その僥倖に我々映画ファンは感涙すべきだろう。



文:竹島ルイ

ヒットガールに蹴られたい、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」主宰。



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(c)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


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