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『行き止まりの世界に生まれて』観客と作品の新たな関係性を提示する新世代ドキュメンタリー

『行き止まりの世界に生まれて』観客と作品の新たな関係性を提示する新世代ドキュメンタリー

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被写体との絶妙な距離感を作ったスケートボード



 この距離感には、監督のビン・リューの来歴が大きく影響している。ビンは主人公たちと同じロックフォード出身で、彼らと同じくスケートボードに親しんできた。彼も家庭環境に恵まれず、スケートボードを拠り所としてきたという点で、被写体と共鳴しあったことは間違いなく、それが絶妙な距離感を生み出したのだろう。


 さらに、スケートボーダーと映像の親和性も大きく影響しているのではないだろうか。スケートボードはストリートで「技を見せる」競技のため、「撮影する」ことが自ずからセットになりやすい。


 スマートフォンやアクションカムで手軽に高画質の映像を撮影できるようになる前から、スケートボーダーたちはその技を撮影、鑑賞し、ネットで拡散するという作法を身につけてきたと考えられる(だからザックやキアーが幼いころの映像もふんだんに残されている)。




 そんな文化的背景があるからこそ、カメラで撮る、撮られるという状況がスケートボーダーには身体化されており、本作の距離感を醸成するのに図らずも一役買ったのではないだろうか。


 そしてもう一つ、この映画の距離感を決めた大きな要素がある。それはこの映画が監督も含めた出演者たちの「治療」として撮られたことだ。



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