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『L.A.コンフィデンシャル』娯楽と芸術を高い水準で成立させた、傑作フィルム・ノワール

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『L.A.コンフィデンシャル』娯楽と芸術を高い水準で成立させた、傑作フィルム・ノワール


※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


ノワール映画『L.A.コンフィデンシャル』は、公開当時から高い評価を集めた1997年の名作だ。アカデミー賞では作品賞の最有力とされながら、脚色賞と助演女優賞(キム・ベイシンガー)2部門の受賞にとどまり、『タイタニック』(97)の後塵を拝する結果となったが、批評家筋の圧倒的な評価を得て、全米映画批評家協会賞をはじめとして、おびただしい数の賞を獲得したこと。この結果は日本公開時にも盛んに宣伝され、話題となった。


いまも映画ファンに語り継がれている魅力と、凄まじい評価の高さの理由はどこにあったのだろうか。じっくりとその内容を振り返って解説していきたい。


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こだわり抜いたL.A.ノワール世界



 原作は、「アメリカ文学界の狂犬」と渾名(あだな)されるジェイムズ・エルロイの書いた、L.A.(ロサンゼルス)の裏社会を舞台とする犯罪小説。本作で賞賛を浴び、後にエミネム主演作『8 Mile』(02)を撮ったことでも知られるカーティス・ハンソンが監督を務め、『ミスティック・リバー』(03)や『グリーン・ゾーン』(10)の脚本家ブライアン・ヘルゲランドが、ハンソンと共同で脚色をしている。


 舞台となるのは、公権力の不正やギャングの殺害事件が横行する、1950年代のロサンゼルスの街。元警官を含む複数の惨殺死体が、ダウンタウンのカフェで発見される「ナイト・アウル事件」が発生し、この裏に隠された意外な真相に3人の刑事が迫っていくという内容だ。はじめはダニー・デヴィートが語り部役を演じ、登場人物の一人としても現れるが、途中からナレーションをする任を降りるという、意表をつく趣向もある。



 本作が名作となったのは、映画を構成する様々な要素において、それぞれに水準を超える仕事が達成されているからである。例えば、作品を音楽で盛り上げるのは、アカデミー賞常連の映画作曲家ジェリー・ゴールドスミス。ハードボイルドで哀愁漂うブラスセクションの音色や、緊張感ある場面では、ピアノの激しい旋律が前に出るサスペンスフルなスコアによって、本作の雰囲気をリッチにし、格を上げている。


 さらに、50年代のロスを再現する美しい美術も見ものだ。高級住宅地や貧困層の住むエリアの雰囲気、凄惨な事件とともに描かれるショービジネスの世界やパーティーの華やかな様子が、くすんだトーンで映し出される。こういったこだわりによってかたちづくられた、総合的な完成度の高さが、この作品をただならぬものにする土台を作っているといえよう。



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