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『チェンジリング』クリント・イーストウッド映画における、糾弾される国家権力

(c)Photofest / Getty Images

『チェンジリング』クリント・イーストウッド映画における、糾弾される国家権力

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警察に対する怒りと不信に満ちた脚本



 『チェンジリング』の脚本を手がけたのは、J・マイケル・ストラジンスキー。かつてジャーナリストだった彼は、1920年代後半に発生したゴードン・ノースコット事件に並々ならぬ関心を抱き、過去の裁判記録などを引っ張り出して徹底リサーチ。わずか11日間で脚本の草案を完成させる。


 この事件は、カリフォルニア州リヴァーサイドで養鶏場を営む青年ゴードン・ノースコットが、数十人もの少年を誘拐しては性的な虐待を加え、そして殺害するという陰惨極まりないものだった。だがそれ以上にヒドかったのが、警察の対応。9歳の息子ウォルターが突然失踪し、母親のクリスティン・コリンズは警察に捜査を依頼する。しかし、五ヶ月後に彼女の元に引き渡された息子は、顔も身長も性格も異なる全くの別人だった。



 クリスティンは異議を申し立てるが、メンツを潰されたくない警察は、「自分の息子を判別できない母親の方に問題がある」と全く取り合わず。実は本物のウォルター少年は、ノースコットによって誘拐・殺害されていた。「警察がきちんと捜査していれば、犠牲者を出さずに済んだのでは?」と、世間を騒がす大きなニュースとなったのだ。


 警察に対する怒りと不信に満ちたストラジンスキーの脚本は、2006年にブラックリスト入り(ブラックリストとは、まだ映画化されていないシナリオをホームページ上にアップロードすることで、優れたホンを探している映画製作者とマッチングさせる仕組みのこと)。まずこの脚本に目をつけたのが、『アポロ13』(95)や『ビューティフル・マインド』(01)で知られるヒットメイカー、ロン・ハワードだった。しかしスケジュールの都合で演出することは叶わず、プロデューサーとして後方支援することに。最終的にこの作品を演出することになったのは、シナリオを読み終えたその日に監督を引き受けることを承諾したという、巨匠クリント・イーストウッドだった。



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