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『SOMEWHERE』孤独の描き手、ソフィア・コッポラ監督が紡ぐ「ひとときの救済」

(c)2010-Somewhere LLC

『SOMEWHERE』孤独の描き手、ソフィア・コッポラ監督が紡ぐ「ひとときの救済」

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監督作の根底にある、「孤独」というテーマ



 初監督作の『ヴァージン・スーサイズ』(99)では、「少女の自殺」というショッキングなテーマを、陽光が差し込む明るい世界で描いたソフィア・コッポラ監督。血生臭い“死”と、画面に映るポエティックな世界のズレ――彼女の作品が「ガーリー・ムービー」と評されるゆえんでもあるが、初期作からソフィアの「孤独の表出の仕方」は際立っていた。


 続く『ロスト・イン・トランスレーション』(03)では、より「孤独」への向き合い方が深化。東京という異空間で置いてけぼりのような感覚に浸された男女の孤独と、彷徨の果てに見つけた泉のような“出会いのありがたみ”が、淡々とつづられていく。


  時代劇に挑んだ『マリー・アントワネット』(06)では、私たちが知る「ギロチン」「処刑」という残酷な結末を逆手に取り、奔放なヒロインをポップに描写。ただ「女子って最強」というメッセージは確かに感じ取られるのだが、根底にはやはり孤独や不安が渦巻いていた。



 本作を経たのちに制作された『ブリングリング』(13)も、セレブの豪邸に忍び込み、金品を盗み出す少年少女を描いている。罪の意識を感じず、犯罪に手を染める子どもたちはソフィアが追求し続ける「少女性」の危うさを象徴しているのだが、彼女たちが無意識のうちに体現している「倫理観の欠如」や「感情の欠落」は、自覚症状のない孤独感からの逃亡ともみることができる(ちなみに本作は、A24が北米配給を手掛けた)。


 クリント・イーストウッドが出演した『白い肌の異常な夜』(71)のリメイク『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(17)は女性たちの怖さを描いたスリラーだが、こちらも彼女たちのエスカレートする行動の裏には自覚/無自覚からなる「不安」や「恐れ」、根本的な孤独があると考えると、腑に落ちてくる部分もある。男性という異分子が入ることで協調性がいったん壊れるも、その後団結していく(罪の共有的な意味も持ち、これまで以上に強固なチームワークを発揮)という流れも、孤独感が薄まったことによるものだ、とも思えてくる。



 そして、Apple TV+、A24とコラボレーションした最新監督作『オン・ザ・ロック』(20)は、「大人になった『SOMEWHERE』」であり、『ロスト・イン・トランスレーション』との符合も。プレイボーイである父との距離感に悩んでいた娘が、自分の夫の不倫疑惑を確かめるべく、父とコンビを組んで調査に乗り出すという物語をベースに、「限られた時間の中で、親子の絆を感じていく」さまが描かれていく過程は、『SOMEWHERE』と合致する。こちらでも、素直になれない父娘の関係が、ニューヨークの街並みと共に紡がれていく。



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