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『ミッドナイト・スカイ』ジョージ・クルーニーが今の自分を作品に投影した、未来とは思えない現実味

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『ミッドナイト・スカイ』ジョージ・クルーニーが今の自分を作品に投影した、未来とは思えない現実味

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過酷だったアイスランドと『ゼロ・グラビティ』の宇宙演出



 クルーニーは「この映画は2本立てなんだ」と説明する。2本はそれぞれ彼に異なる挑戦を促したという。


 北極圏のシーンを撮影するために訪れた10月中旬のアイスランドでは、零下40℃にもなる悪天候に翻弄された。嵐に見舞われた時は、撮影クルー全員がロープで体を縛って安全を保たなければならなかった。また、オーガスティンが強風を避けて氷の洞窟に下りて行く場面があるのだが、それはセットではなく、本物の洞窟なのだとか。『レヴェナント:蘇えりし者』(15)のような世界は、実際に演じてみると想像以上に過酷だったようだ。


 一方、宇宙のシーンには『ゼロ・グラビティ』での経験が生かされた。アルフォンソ・キュアロン監督の宇宙演出に感銘を受けたクルーニーは、国境を跨いで活躍するベルリン生まれの撮影監督、マーティン・ルーエにそれを伝達。ルーエは監督のイメージを理解してキュアロンが実践した技術的アプローチを試みた。



『ミッドナイト・スカイ』Philippe Antonello/ NETFLIX


 しかしそれ故、オリジナリティという意味では物足りなさを感じるという意見もある。例えば、映画評論家がレビューを共有する”Roger Ebert.com”は、「『ゼロ・グラビティ』と『レヴェナント:蘇えりし者』のベースに、『インターステラー』(14)と『アド・アストラ』(19)と『オデッセイ』(15)を少しずつ振りかけた混合フレーバー」と手厳しい。


 しかし一方で、”THE WALL STREET JOURNAL”はこう擁護する。「この映画は地球が抱える窮状の深刻さに後押しされている。以前は文明の終わりを娯楽として観るのは楽しかったが、もはやそうはいかない」。


 まさにそこが、ジョージ・クルーニーが人々に伝えたかったテーマだと捉えると、少し違う景色が見えてくるのだ。次からは、その景色について掘り下げてみたいと思う。



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