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『デトロイト』徹底再現という手段を用いて、史実を映画化する意味とは

『デトロイト』徹底再現という手段を用いて、史実を映画化する意味とは


暴動と同じ夏、人種間差別の歴史を大きく変えた最高裁判決があった!



 『デトロイト』が描いた1967年という時代の皮膚感覚を知るために、お勧めしたい映画がある。2016年にジェフ・ニコルズが監督し、アカデミー主演女優賞にもノミネートされた『ラビング 愛という名前のふたり』だ。


 同作は、白人男性であるリチャード・ラビングと、黒人女性のミルドレッド・ラビングの婚姻がヴァージニア州法によって違法であると判断され、有罪判決を受けた実話の映画化だ。リチャードとミルドレッドは幼なじみで、ミルドレッドの妊娠を機に婚約。しかし彼らが生まれ育ったヴァージニア州では異人種間の結婚が認められていなかったため、ワシントンD.C.で婚姻届けを出したのだが、地元に帰って逮捕されてしまったのだ。




 映画では、ただひっそりと平穏に暮らしたがっていたラビング夫妻が、人種差別にまつわる裁判の当事者になり、判決が最高裁まで持ち越された騒動を描いている。夫妻が結婚して有罪判決を受けたのが1958年。判決は憲法違反だと当時の司法長官ロバート・ケネディに不服を申し立てたのが1963年。そしてようやく最高裁で無罪判決が出たのが1967年6月。人種が違うという以外はごく普通の夫婦が夫婦であると認められるまでに、ほぼ10年に近い歳月がかかったことになる。




 映画『デトロイト』が描く暴動が起きるのは、この判決の翌月のこと。アメリカの人権意識が大きく前進したこの裁判が、“Long Hot Summer”の一連の暴動の原因だったかはわからない。が、リンカーンによる奴隷解放宣言(1962年9月)から100年以上経ってもまったく解決されていなかった人種差別問題において、1967年が重要な年だったことは間違いない。ヴァージニアでは異人種間の結婚が初めて認められ、デトロイトでは警察によって無実の黒人たちが無抵抗のまま殺された。結果は真逆かも知れないが、どちらの事件も、社会が革新される時代のうねりの中で起きたターニングポイントだったのである。



文: 村山章

1971年生まれ。雑誌、新聞、映画サイトなどに記事を執筆。配信系作品のレビューサイト「ShortCuts」代表。



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作品情報を見る


提供:バップ、アスミック・エース、ロングライド 配給:ロングライド

© 2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. 

公式サイト:www.longride.jp/detroit

2018年1月26日(金)、 TOHOシネマズ シャンテほか全国公開


※2018年2月記事掲載時の情報です。

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