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『ザ・タウン』「街」がもたらすリアリティを吹き込んだ、ベン・アフレックの監督術

『ザ・タウン』「街」がもたらすリアリティを吹き込んだ、ベン・アフレックの監督術

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第二作では前作以上の取材を敢行してリアリティを追究



 では2作目となる『ザ・タウン』はどうか。本作で炸裂する監督術もまた『 ゴーン・ベイビー・ゴーン』の延長線上にあるものだ。ただし、前作で得た自信ゆえか、今回は自身が主演も兼ねることを前提に準備が始まった。


 舞台はボストンの北東部、チャールズタウン。冒頭のクレジットによると、「世界で最も強盗が多発する街」なのだという。脚本は前作同様、幼馴染のアーロン・ストッカードと共に執筆した。原作者のチャック・ホーガンもまたボストン出身。この題材がベンの心に突き刺さったのは、かつての『ゴーン・ベイビー・ゴーン』と全く同じ理由からとみていい。目指したのは今回もやはり「リアル」。自分にしか描くことのできない唯一無二の、現実味のあるストーリーを、今回も必ず具現化できると確信したのだ。


 「僕は映画の手法や見せ方に秀でた職人監督ではない。だからとにかく、自分にしかできないことを追究した。自分の熟知した世界を舞台に、全てをリアルに描こうと努めたんだ」


 実はこれは前作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』の時に語られたベンの言葉なのだが、『ザ・タウン』にも通ずる、彼の監督術のまさに根幹をなすものといえよう。


 だが、今回は一段とハードルが高くなったのは事実だ。白昼堂々とカーアクションや銃撃戦も繰り広げられるし、登場人物たちもより複雑な相関図で配置される。まさにベンの監督としての力量と、ネクストステージへ向かう可能性が試される作品となった。




 ではどのように「リアル」を追い求めたのか。ベンのリサーチは前作にも増して力のこもったものとなった。まずは、脚本執筆の段階から、単なる原作の脚色に徹するのではなく、町の様々な人々の証言をもとにしてディテールを織り成していった。


 中にはかつてドラッグの売人だったり、銀行強盗に手を染めたことがあった人物もいた。必要とあれば刑務所にまで足を伸ばし、受刑者と面会して話を聞いた。警察関係者にも事件の詳細や捜査に関する質問などを突きつけ、両者の対立を入念に描きこむことに腐心した。その上、作品の冒頭に描かれる銀行強盗シーンなどは地元で実際に起こった事件をベースとしており、目撃者や捜査の当事者の証言を極力生かすことで「実際と違う」などと指摘されないように注意を払ったという。いわば、町の記憶を映像に焼き付けたのである。



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