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『ベスト・キッド』師匠の存在感が主人公を超えてしまった、最高のメンター映画

(c)Photofest / Getty Images

『ベスト・キッド』師匠の存在感が主人公を超えてしまった、最高のメンター映画

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かつての“敵国人”が成し遂げたアメリカン・ドリーム



 『スター・ウォーズ』シリーズのヨーダ、『マトリックス』シリーズのモーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのガンダルフ(イアン・マッケラン)。古今東西の映画には様々なメンター(師匠)が登場するが、その中でもミスター・ミヤギの存在感は際立っている。『ベスト・キッド』シリーズは4作まで製作されているが、『ベスト・キッド4』(94)にはダニエルは登場せず、女子高校生のジュリー(ヒラリー・スワンク)をミヤギが指導する話。シリーズを通して活躍するキャラクターは彼一人なのだ。『ベスト・キッド』の実質的な主人公はミヤギである、と断言しても過言ではないだろう。


 思い返してみれば、本作のラストカットは、ダニエルの勝利に柔らかな笑みを浮かべる、ミヤギの顔のストップモーション。本作の監督ジョン・G・アヴィルドセンが手がけた『ロッキー』(76)のラスト・カットも、「I Love You」を絶叫するシルベスター・スタローンのストップモーションだった。ラストを飾るのは、いつだって主人公のヒーロー・ショットなのである。


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 『ロッキー』つながりでもう少し話を広げると、ミヤギは日系アメリカ人、ロッキーはイタリア系アメリカ人という設定。そして第二次世界大戦では、日本もイタリアもアメリカの敵国として戦争をした歴史がある。敵国をルーツに持つ彼らは、当時辛い立場に追い込まれた。1941年の真珠湾攻撃を契機に、12万人にも及ぶ日系人が財産を没収されて強制収容所に連行。イタリア系もおよそ3,000人が逮捕され、うち300人が強制収容された。


 そう、『ベスト・キッド』も『ロッキー』も、かつての“敵国人”がアメリカン・ドリームを成し遂げる、という構造になっているのだ。ミヤギとロッキーがラストカットを飾るのは、必然的帰結だったのである。




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