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『ベスト・キッド』師匠の存在感が主人公を超えてしまった、最高のメンター映画

(c)Photofest / Getty Images

『ベスト・キッド』師匠の存在感が主人公を超えてしまった、最高のメンター映画

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「第442連隊戦闘団」に込められた、ミヤギの悲哀



 『ベスト・キッド』で忘れがたい場面がある。上原敏のヒット曲「裏町人生」を歌いながら、ミヤギが酔っ払ってしまうシーンだ。彼はダニエルに、かつて第442連隊戦闘団に所属していたことを打ち明ける。この部隊は強制収容所で志願兵を募り、日系アメリカ人を中心に結成されていた。彼らはアメリカへの忠誠を示すためにどこよりも勇敢に戦い、アメリカの歴史の中で最も勲章を受けた部隊となる。


 ミヤギも最高の勲章である名誉勲章を受け取っている。だが出征のために妻の出産に立ち会うことができず、合併症を発症した妻はそのまま息を引き取ってしまう。アメリカへの忠誠を果たすことと引き換えに、ミヤギは妻と子供を失ってしまったのだ。おそらく自暴自棄になり、彼の心の中で精神的空白が広がったことだろう。


 ダニエルが師を求めていたように、ミヤギもまた子を求めていた。ミヤギは空白を埋めるかのようにダニエルに空手を教え、人生を教え、自らも救済されていく。「酔っ払ったミヤギ」は、それを示唆する意味でも必要不可欠なシーン。当初スタジオ側は「映画の進行が緩慢になる」と削除を求めていたらしいが、その要求を突っぱねてこのシーンを残したジョン・G・アヴィルドセンの決断は、ダンゼン正しい。



 今、巷ではドラマ『コブラ会』(18〜)が盛り上がっている。かつてダニエルに敗れたジョニー(ウィリアム・ザブカ)が、空手道場「コブラ会」を再興する物語だ。だがこのドラマに、すでに鬼籍に入ってしまったミヤギはいない(回想シーンで登場するのみ)。一抹の悲しみを抱えながらも、我々は「かつての弟子たちが、今後どのようにメンターとして成長していくのか」を見届けることができる。


 俺たちの『ベスト・キッド』はまだまだ終わらない!



文: 竹島ルイ 

ヒットガールに蹴られたい、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」主宰。



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