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『21ブリッジ』チャドウィック・ボーズマンの存在感が光る、秀逸なポリス・スリラー

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『21ブリッジ』チャドウィック・ボーズマンの存在感が光る、秀逸なポリス・スリラー

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『21ブリッジ』あらすじ

NYPD殺人課のアンドレ・デイビス刑事は、揺るぎない信念のもとで、忠実に生きる男だ。彼は、警官殺しの強盗殺人犯を追跡するため、マンハッタン島とほかの陸地とを結ぶ21本の橋と、トンネルなどを封鎖する大胆不敵なロックダウン作戦を提案する。マンハッタン全土を封鎖し、犯人の行方を追うのだが、事件の真相に迫る中で、自らも大規模な汚職組織の小さな歯車に過ぎないことがわかってくる_。


Index


演技の世界を愛し続けたレジェンド俳優の死



 チャドウィック・ボーズマンの俳優人生を振り返ると、彼がいかに演技の世界を愛していたかがうかがえる。近代メジャーリーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソン、“ファンクの帝王”ジェームズ・ブラウン、黒人初の最高裁判事サーグッド・マーシャル――伝説的な人物たちを次々に演じたボーズマンは、いつも全精力を注いで役に向き合ってきた。その精神は、MCU作品『ブラックパンサー』(18)でも同じ。どんなときでも力を抜かず、演技に挑み続ける。それが彼の持ち味だ。


 彼は、演じるキャラクターの性質を深く理解し、尊重し、内面重視のリアルな演技を死の間際まで追求した。Netflix作品『マ・レイニーのブラックボトム』(20)で彼は、キャリア初のアカデミー賞主演男優賞にノミネート。もし受賞が決まれば、『ダークナイト』(08)のヒース・レジャー以来、死後にアカデミー賞を受賞した歴代3人目の俳優となる。今後の活躍が一層期待されていただけに、彼の早すぎる死にはショックを隠せない。


『21ブリッジ』予告


 奔放なトランペット奏者を演じた『マ・レイニーのブラックボトム』のボーズマンは、少し痩せた印象はあるものの、いままで以上にパワフルで精力的だ。そのエネルギッシュな勇姿は『21ブリッジ』(19)でも健在。『21ブリッジ』でボーズマンが扮するのは、ニューヨーク市警(NYPD)のストイックな敏腕刑事。彼のキャリアの中で刑事役は初めての経験となる。


 ボーズマンは本作の撮影中もガンとの闘病中で、2016年にガンと診断されてから、2020年8月に亡くなるまでの間で、数えきれない手術と治療を受けてきた。『21ブリッジ』が米国で公開されたのは、彼が亡くなる約9か月前のこと。このときはまだ、彼がよもやガンで闘病中だとは、誰一人として予想していなかった。どんな状況でも演技への情熱を失わず、演技の世界を愛し続けたボーズマン。彼の名前はハリウッドの映画史に燦然と輝き続けるはずだ。





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